【FP2級】生命保険料控除〜一般の生命保険料控除・個人年金保険料控除・介護医療保険料控除
今回は生命保険料控除を解説します。実生活にも役立つので楽しく学習しましょう!
- 一般の生命保険料控除・個人年金保険料控除・介護保険料控除の特徴を理解する
- 控除を受けるための要件を理解する(特に個人年金保険料控除に注意!!)
生命保険料控除とは
3つの生命保険料控除
“生命保険料控除”とは、1年間(1/1〜12/31)に支払った生命保険料の一部を所得から控除できる制度です。
これにより課税所得を減らして、所得税と住民税の支払いを軽減できるわけです。
生命保険料控除には次の3種類があります。
- 一般の生命保険料控除
- 個人年金保険料控除
- 介護医療保険料控除
生命保険料控除の限度額
保険料をたくさん支払っているほど控除できる金額は大きくなります。
ただし、控除できる金額には上限があるので、下の表で覚えておきましょう。
所得税の限度額 | 住民税の限度額 | |
---|---|---|
一般の生命保険料控除 | 40,000円 | 28,000円 |
個人年金保険料控除 | 40,000円 | 28,000円 |
介護医療保険料控除 | 40,000円 | 28,000円 |
住民税は所得税の7割掛けと覚えておきましょう。
3つの控除を合わせると、所得税が最高12万円、住民税が最高7万円まで控除できます。
所得税が12万円も安くなるのか?
そうではなくて、例えば、所得税率が20%の人であれば、12万円×20%=2.4万円くらい所得税が軽減されるということです。
一般の生命保険料控除
ここからは3つの生命保険料控除を順番に解説していきます。
まず、“一般の生命保険料控除”は、保険金受取人が契約者、配偶者、6親等以内の親族のいずれかである生命保険契約が対象になります。
ただし、一部対象にならない保険契約もあるので、下の表で整理しておきましょう。
対象となる保険契約 | 対象外の保険契約 |
---|---|
終身保険・定期保険(外貨建てでもOK) 変額個人年金保険 特定三大疾病保障保険 共済 | 保険期間が5年未満の財形貯蓄保険 財形保険 少額短期保険業者と締結した保険 住宅ローン団体信用生命保険 傷害特約や災害割増特約の保険料 |
住宅ローン団体信用生命保険の保険金受取人は金融機関です。保険金受取人が契約者・配偶者・親族のいずれにも該当しないため、控除の対象外になります。
対象となる生命保険契約がある場合、支払った保険料に応じて、一般の生命保険料控除を受けることができます。
保険料の支払いに関して、以下のポイントをおさえておきましょう。
このへんは超頻出なので、しっかり覚えておきましょう!
原則として保険料は、支払った年の生命保険料控除の対象になります。
たとえ前年分の保険料を後払いした場合でも、支払った年の控除対象になるわけです。
引っ掛け問題が出ることがあるので、注意してください。
- 終身保険の月払保険料のうち、2025年1月に払い込まれた2024年12月分の保険料は、2024年分の生命保険料控除の対象となる。○か×か?
-
正解は”×”です。あくまで支払った年の控除対象となるため、設問のケースでは2025年の生命保険料控除の対象となります。
個人年金保険料控除
次は“個人年金保険料控除”です。
個人年金保険料控除では、終身年金や確定年金の支払保険料に応じて、年間で最大4万円の所得控除が受けられます。
ただし、個人年金保険料控除を受けるには、次の要件を満たす必要があります。
全ての要件を満たせば”個人年金保険料税制適格特約”が付加され、個人年金保険料控除の対象になります。
保険料の払込期間10年以上が条件なので、一時払いの保険は対象外となります。
また、変額個人年金保険も対象外となります。
ここは超重要なので、しっかり覚えておいてください。
介護医療保険料控除
最後に“介護医療保険料控除”です。
介護医療保険料控除は、2012年1月に新設されました。
2012年以前は一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除の2種類しかありませんでした。
介護医療保険料控除では、入院や通院を対象とする保険料の支払いに応じて、年間で最大4万円の所得控除が受けられます。
具体的には、民間の介護保険、医療保険、所得保障保険などが対象となります。
公的介護保険の保険料は対象外です。あくまで民間の保険だけが対象になります。
なお、傷害特約や災害割増特約の保険料は、介護医療保険料控除の対象外となります。
介護医療保険料控除は、あくまで入院や通院の医療費支払いを目的とした保険を対象にしているからです。
過去問チャレンジ
最後にFP2級試験対策として、実際の過去問を見てみましょう。
2012年1月1日以後に締結された生命保険契約の保険料に係る生命保険料控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 終身保険の月払保険料のうち、2023年1月に払い込まれた2022年12月分の保険料は、2023年分の一般の生命保険料控除の対象となる。
- 変額個人年金保険の保険料は、個人年金保険料控除の対象とはならず、一般の生命保険料控除の対象となる。
- 終身保険の保険料について、自動振替貸付により払込みに充当された金額は、貸し付けられた年分の一般の生命保険料控除の対象とはならず、返済した年分の一般の生命保険料控除の対象となる。
- 終身保険に付加された傷害特約の保険料は、介護医療保険料控除の対象とならない。
(2023年5月 FP2級学科)
それでは解説していきます。
❶適切。
設問のとおりです。あくまで支払った年の控除対象となるため、設問のケースでは2023年分の生命保険料控除の対象となります。
❷適切。
設問のとおりです。変額個人年金保険や一時払いの個人年金保険は、個人年金保険料控除の対象外です。ただし、一般の生命保険料控除の枠内で控除を受けることはできます。
❸不適切。
自動振替貸付を利用した場合でも、保険料の支払った年の生命保険料控除の対象になります。返済の時期は生命保険料控除とは関係ありません。したがって、設問の記載は誤りです。
❹適切。
設問のとおりです。傷害特約や災害割増特約は、介護医療保険料控除の対象外です。介護医療保険料控除は、あくまで入院や通院に伴う医療費支払いを目的とした保険を対象にしているからです。
以上により、正解は❸となります。
個人年金保険料控除の適用要件はしっかり覚えておきましょう。次回は生命保険契約の税金(個人)を解説します。