【FP2級】不動産保有時の税金〜固定資産税と都市計画税
今回は”不動産保有時の税金”として固定資産税と都市計画税を解説します。なかでも固定資産税の特例は重要です!
- 固定資産税の税率と特例を理解する
- 都市計画税の税率と特例を理解する
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固定資産税
固定資産税とは
固定資産税とは、土地・建物の所有者に課税される地方税(市町村税)です。
毎年1月1日時点の固定資産課税台帳に登録されている所有者が納税義務者となります。
固定資産課税台帳とは、土地・建物の所有者や評価額を記載した帳簿のことです。
市町村に備えられており、固定資産税の納税義務者や借地人・借家人であれば閲覧できます。
FP2級対策として重要なのは、あくまで1月1日時点の所有者が納税義務者だということです。
このため、1月1日時点の所有者が年の途中で土地・建物を売却しても、その年分の固定資産税は全額支払わなければなりません。
少し理不尽ですが、ルール上はこのようになっています。
実務上は、売主と買主が所有期間に応じて按分することが多いです。
固定資産税の税率
固定資産税は次のように計算されます。
課税標準は固定資産税評価額で、標準税率は1.4%です。
たとえば、固定資産税評価額5,000万円の土地を所有している場合、「5,000万円×1.4%=70万円」の固定資産税を支払うことになります。
固定資産税評価額は3年ごとに市町村が決定し、その後3年間は据え置かれます。
年4回に分けて納付するのが原則ですが、一括納付することも認められています。
通常はこのあと学習する”都市計画税”と一緒に納付します。
ちなみに、1.4%はあくまで標準税率です。税率は市町村の条例により、上げることも下げることもできます。
固定資産税の特例
固定資産税で押さえておくべき特例が2つあります。
- 住宅用地の課税標準の特例(土地の固定資産税評価額が減額される)
- 新築住宅の税額軽減の特例(新築住宅の固定資産税が減額される)
順番に学習していきましょう。
住宅用地の課税標準の特例
“住宅用地の課税標準の特例”とは、住宅用地の固定資産税評価額が減額される特例です。
この特例は超頻出なので、しっかり理解しておきましょう。
イメージしやすいように、次の練習問題を見てみましょう。
200㎡の住宅用地があります。固定資産税評価額が3,600万円のとき、固定資産税額はいくらになるでしょう?
住宅用地200㎡までは固定資産税評価額を6分の1に減額することができるので、固定資産税額は次のようになります。
$$3,600万円\times\frac{1}{6}\times1.4%=84,000円$$
この特例がなければ、固定資産税額は「3,600万円×1.4%=504,000円」になるわけですから、特例の効果はとても大きいことが分かると思います。
なお、住宅用地の面積が300㎡の場合は、200㎡までは固定資産税評価額が6分の1に、残りの100㎡は固定資産税評価額が3分の1になります。
近年は放置された空き家が社会問題になっています。このため、勧告を受けた管理不全空家の敷地は特例を受けることができません。
新築住宅の税額軽減の特例
“新築住宅の税額軽減の特例”とは、新築住宅の固定資産税が2分の1に減額される特例です。
住宅用地の特例では固定資産税評価額が減額されましたが、新築住宅の特例では固定資産税そのものが減額されます。
たとえば、床面積が80㎡、固定資産税評価額が1,000万円の新築住宅を取得した場合の固定資産税額は次のようになります。
$$1,000万円\times\frac{1}{2}\times1.4%=7万円$$
税額軽減される期間は通常3年ですが、中高層耐火建築物または認定長期優良住宅に該当する場合は+2年間(合計5年間)は税額軽減の恩恵を受けることができます。
中高層耐火建築物と認定長期優良住宅の両方の該当する場合は+4年間(合計7年間)税額軽減されます。
“中高層耐火建築物”は3階建て以上のマンションをイメージしてください。
都市計画税
都市計画税とは
都市計画税とは、主に都市計画事業に充てることを目的とした地方税(市町村税)です。
市町村が道路や公園をつくったり、下水道を整備するために使われる税金で、通常は固定資産税と合わせて市町村に納付します。
都市計画税は、毎年1月1日時点の固定資産課税台帳に登録されている市街化区域の土地・建物の所有者に課税されます。
1月1日時点なのは固定資産税と同じですが、ポイントは市街化区域に限定されることです。
裏を返せば、市街化調整区域の土地・建物に都市計画税は課税されません。この点は重要なのでしっかりおさえておきましょう。
都市計画税の税率
都市計画税は次のように計算されます。
課税標準は固定資産税と同じく、固定資産税評価額となります。
税率は上限0.3%と定められています。
ん?上限ってどういうことだ?
都市計画税の税率は、各市町村が条例で定めます。ただし、0.3%は超えられないことになっています。
固定資産税は1.4%を超えても下回ってもOKでした。一方、都市計画税は0.3%を下回ることはできても超えることはできません。細かい違いですができれば覚えておきましょう。
都市計画税は通常、固定資産税と合わせて市町村に納付します。
都市計画税の特例
固定資産税と同じように、都市計画税にも税額軽減の特例があります。
ただし、都市計画税は住宅用地の特例だけで、新築住宅に関する特例はありません。
この点は整理しておきましょう。
住宅用地の課税標準の特例
住宅用地の課税標準の軽減の特例は、住宅用地の都市計画税が減額される特例です。
考え方は固定資産税の特例と同じです。
ただし、固定資産税と都市計画税では減額幅が異なる点に注意が必要です。
都市計画税の優遇幅は、固定資産税の半分だと覚えておきましょう。
200㎡以下 | 200㎡超 | |
---|---|---|
固定資産税 | 1/6 | 1/3 |
都市計画税 | 1/3 | 2/3 |
過去問チャレンジ
それではFP2級試験対策として実際の過去問を解いてみましょう。
不動産に係る固定資産税および都市計画税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 年の中途に固定資産税の課税対象となる土地または家屋が譲渡された場合、その譲受人は、原則として、その年度内の所有期間に応じた当年度分の固定資産税を納付しなければならない。
- 住宅用地に係る固定資産税の課税標準については、住宅1戸当たり400㎡以下の部分について 課税標準となるべき価格の6分の1相当額とする特例がある。
- 都市計画税の税率は各地方自治体の条例で定められるが、100分の0.3を超えることはできない。
- 都市計画税は、都市計画区域のうち、原則として、市街化調整区域および非線引きの区域内に所在する土地および家屋の所有者に対して課される。
(2022年9月 FP2級学科)
まさに今回学習した固定資産税と都市計画税の問題です。
それでは回答をみていきましょう。
❶不適切。
固定資産税は毎年1月1日時点の固定資産課税台帳に登録されている所有者が納税義務者となります。このため、1月1日時点の所有者が年の途中で土地・建物を売却しても、その年分の固定資産税は全額支払わなければなりません。
❷不適切。
固定資産税評価額が1/6に減額されるのは、住宅用地の200㎡までの部分です。設問は400㎡となっているので誤りです。
❸適切。
設問のとおりです。都市計画税は市町村が条例で定めることができますが、上限は0.3%となります。一方、固定資産税の場合は、条例により1.4%より上でも下でも定めることができます。
❹不適切。
都市計画税は都市計画区域のうち、市街化区域内の土地・建物が対象となります。設問は市街化区域および非線引区域内となっているので誤りです。
以上により、正解は❸となります。
今回の学習は以上です。次回は”不動産譲渡時の譲渡所得”を解説します。税金が続きますが復習しながら進めていきましょう!
試験前の追い込みには“直前対策note”がおすすめだぞ