【FP2級】相続税の申告と納付〜延納・物納と準確定申告
今回は相続税の申告と納付について解説します!延納・物納をするための条件を中心に押さえておきましょう。
- 相続税の申告方法を理解する
- 延納・物納の要件を理解する
- 準確定申告を理解する
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相続税の申告
前回の学習では相続税の計算方法を学習しました。
計算の結果、相続税が発生する場合には、所定の期限までに申告書を提出し、相続税を納付しなければなりません。
FP2級試験で問われるのは、申告の期限と申告先です。
次の点を押さえておきましょう。
原則として納付税額がゼロの場合は申告は不要です。
ただし、次のケースでは納付税額がゼロでも申告が必要になるので注意しましょう。
- 配偶者に対する相続税額の軽減を受ける場合
- 小規模宅地等の相続税の課税価格の特例を受ける場合
特例の適用を受ける場合はたとえ納付税額ゼロでも申告が必要となります。
配偶者に対する相続税額の軽減を忘れてしまった方はしっかり復習しておきましょう。
小規模宅地等の相続税の課税価格の特例は、また別の講義で解説しますね。
相続税の計算を間違ったらどうなるんだ?
申告した相続税額に間違いがあった場合、後から修正することができます。
以下2つの修正方法を押さえておきましょう。
- 修正申告・・・過少申告(申告漏れ)していた場合
- 更生の請求・・・過大申告(納め過ぎ)していた場合
修正申告に関しては、不足していた税額について延滞税がかかります。延滞税を支払うのは勿体ないので、最初から正確に申告したいところですね。
なお、更生の請求が認められると納め過ぎた分の相続税が還付されます。
延納と物納
原則は金銭一括納付
相続税は原則として金銭で一括納付しなければなりません。
ただし、金銭一括納付が困難な場合には延納を選択することができ、延納すらも難しいときは物納を選択することができます。
延納や物納はあくまで例外だということです。
金銭で納付できないことなんてあるのか?相続財産から納付すればいいじゃないか。
相続財産に現預金が多ければいいんだけど、例えば不動産が大半を占めていたら換金に時間がかかるよね。延納や物納はそういうケースを想定した制度なんだ!
延納
延納とは相続税を分割で納めることです。
金銭一括納付が困難で相続税額が10万円超の場合は、申告期限までに延納申告書を提出して許可を受けることで、延納を選択することができます。
10万円超というのがポイントです。
10万円くらいなら、なんとかして金銭一括納付できるでしょ?という趣旨です。
延納の要件として、次のポイントも押さえておきましょう。
- (原則)延納期間は最長5年
(例外)相続財産に不動産の割合が高い場合は最長20年 - (原則)担保の提供が必要
(例外)延納税額が100万円未満かつ延納期間3年以内であれば担保不要
原則と例外の両方を理解しておきましょう。
延納の担保は、相続で取得した財産に限らず相続人固有の財産でもOKです。
また、延納期間に応じて利子税の支払いが必要になります。
物納
物納とは、金銭ではなく相続により取得した財産そのものによって納付する方法です。
金銭一括納付でも延納でも納付が困難な場合に、申告期限までに物納申請書を提出して許可を受けることで、はじめて物納を選択することができます。
延納できるのに物納を選択することはできません。
また、物納はどんな財産でも認められるわけではありません。物納が認められる財産を“物納適格財産”といいます。
物納的確財産には以下の通り優先順位があります。
優先順位 | 物納適格財産 |
---|---|
第1順位 | 国債、地方債、不動産、上場株式・社債・投資信託、船舶など |
第2順位 | 非上場の株式・社債・投資信託など |
第3順位 | 動産 |
国債と動産を相続した者が物納をする場合は、第1順位の国債の方を物納しなければならないということです。
また、物納適格財産であっても、担保(抵当権や質権)が設定されている不動産や、譲渡制限がある株式などは物納の対象にすることはできません。
加えて相続時精算課税制度を適用した財産も物納はできません。
少し整理しておきましょう。
物納財産の収納価格は相続税評価額となります。
「小規模宅地等の評価減の特例」を適用した土地を物納する場合は、特例適用後の評価額で収納されることも覚えておきましょう。
繰り返しになりますが、「小規模宅地等の評価減の特例」はまた別の講義で解説します。
お釣りは返ってくるのか?
相続税額を超える物納をした場合は差額が金銭で還付されるよ。還付金は譲渡所得とみなされ、所得税・住民税の課税対象となります。
準確定申告
最後に“準確定申告”を解説します。
「準確定申告」とは、亡くなった被相続人の代わりに相続人が確定申告をすることです。
確定申告は、本来であれば前年の所得に応じて本人が実施しなければなりませんが、本人が亡くなってしまった場合は相続人が代わりに申告をしなければなりません。
準確定申告は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に実施する必要があります。
FP2級で問われるのは「4か月以内」という点です!
まとめ
最後にFP2級試験対策として、今回の学習のまとめです。
- 申告・納付期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内
- 申告書の提出先は被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署長
- 延納は相続税額が10万円超であることが条件
- 延納期間は最長5年(不動産の割合が高い場合は最長20年)
- 延納には担保が必要(100万円未満かつ3年以内であれば担保不要)
- 物納の対象は相続財産のうち物納適格財産に限定される
- 物納財産は相続税評価額で評価
- 準確定申告は相続開始を知った日の翌日から4か月以内
延納・物納の条件は理解できたかな?次回は「相続財産の評価」を解説ます!
試験前の追い込みには“直前対策note”がおすすめだぞ