不動産

不動産の譲渡の特例〜空き家に係る3,000万円控除と固定資産の交換の特例〜

*このページは2020年3月15日に更新しました

ヤギハシ先生
ヤギハシ先生
今回は居住用以外の不動産譲渡所得の特例を解説します。出題頻度は低いけれど、他の受験者と差が出やすいところです。
今回の目標
  1. 空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例を理解する
  2. 固定資産の交換の特例を理解する
  3. 特例事業用資産の買換えの特例を理解する

空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例

空き家に係る3,000万円の特別控除とは

「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」とは、相続や遺贈により取得した空き家や敷地を譲渡した場合、譲渡益から3,000万円を控除できる特例のことです。

譲渡する際は、空き家を除却(取り壊し)するか、耐震改修する必要があります。

どうしてこんな特例があるのか考えてみましょう。

相続や遺贈により、被相続人が居住していた古い空き家を相続することがあります。

しかし、耐震基準を満たさない古い空き家が放置されると、地震による倒壊などの危険がありますよね。

行政としては、倒壊して周辺に被害をおよぼす前に、できれば取り壊したり、耐震改修をしてもらいたいところです。

この特例はそれを促すための特例です。

つまり、譲渡益の特別控除を認めることで、相続人に古い空き家の除却や耐震改修を促しているわけです。

しば犬くん
しば犬くん
3,000万円いう金額は必ず覚えておこう!

適用の条件

「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」を受けるためには、次のような要件を満たす必要があります。

  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された建物であること
  • 建物を除却して譲渡すること、除却しないで譲渡する場合は新耐震基準に適合すること
  • 被相続人のみが居住しており、被相続人以外が居住していなかったこと
  • 譲渡金額が1億円未満であること

3つ目の要件のとおり、被相続人が1人で居住していたことが要件ですが、被相続人が老人ホームに入所していた場合でも特例を受けることができます。

カピバラくん
カピバラくん
なんで「1981年5月31日以前」じゃないとダメなんだ?
ヤギハシ先生
ヤギハシ先生
建築基準法の改正により、1981年6月1日から新耐震基準が適用されるようになったんだ。つまり、それ以前の旧耐震基準の建物を対象にしているということだよ。

固定資産の交換の特例

固定資産の交換の特例とは

「固定資産の交換の特例」とは、同種類の固定資産を交換した場合、譲渡資産の譲渡価額への課税が100%繰り延べになる特例です。

この特例を利用すると、次のようなメリットがあります。

  • 「譲渡資産の譲渡価額 ≦ 取得資産の取得価額」の場合、譲渡がなかったものとされる
  • 「譲渡資産の譲渡価額 > 取得資産の取得価額」の場合、差額部分にのみ譲渡があったものとみなされる

通常であれば譲渡価額の全てが課税対象になります。

これに対して「固定資産の交換の特例」を活用すれば、譲渡価額と取得価額の差額だけが課税対象になるということです。

カピバラくん
カピバラくん
どこかで見たことあるような…
ヤギハシ先生
ヤギハシ先生
するどいね!実は「特定の居住用財産の買換えの特例」と同じ効果があるわけです。忘れてしまった人は「居住用財産の特例(2)」を復習しておこう。

適用の要件

「固定資産の交換の特例」を利用するためには次のような要件を満たす必要があります。

  • 譲渡資産は1年以上保有していた固定資産であること
  • 取得資産は相手が1年以上保有していた固定資産であること
  • 交換のために取得した固定資産ではないこと
  • 譲渡資産と取得資産が同種類の固定資産であり、取得資産を譲渡資産と同一の用途で使用すること
  • 譲渡資産と取得資産の差額が、高い方の20%以内であること

あくまで固定資産が対象なので、不動産会社が所有する販売用不動産は対象外となります(固定資産ではなく棚卸資産になるため)。

同種類の固定資産というのが重要なので、次のポイントを押さえておきましょう。

  • 「土地と土地」、「建物と建物」の交換はOK
  • 「土地と建物」の交換はNG
  • 「土地と借地権」の交換はOK(借地権は土地と同種類とみなす)

特定事業用資産の買換えの特例

特定事業用資産の買換えの特例とは

「特定事業用資産の買換えの特例」とは、個人が事業用資産を譲渡して新たに買換資産を取得した場合に使える特例です。

買換資産の取得価額と譲渡資産の譲渡価額のうち、いずれか小さい方の金額の80%について課税の繰り延べができます。

例えば、譲渡資産の譲渡価額が5,000万円、買換資産の取得価額が4,000万円だった場合、この特例を使えば、収入金額は次のようになります。

5,000万円 ー 4,000万円×80% = 1,800万円

特例を利用しなければ、収入金額は5,000万円になるわけですから、かなりの節税効果が見込めることが分かると思います。

ほかの特例との違いを押さえておきましょう。

100%繰り延べ 特定居住用財産の買換の特例
固定資産の交換の特例
80%繰り延べ 特定事業用資産の交換の特例

適用の要件

「特定事業用資産の買換の特例」を利用するためには次の要件を満たす必要があります。

  • 譲渡資産・買換資産ともに事業用であること
  • 買換資産が土地の場合、譲渡資産の5倍までの面積であること(5倍を超える部分は特例の対象外)

ほかにも細かい要件がありますが、FP2級ではこの2点を押さえておけば概ね大丈夫です。

ヤギハシ先生
ヤギハシ先生
今回の学習範囲は、あまり詳細は問われないので、概要だけ押さえておこう!次回のテーマは、不動産の有効活用です。いよいよ不動産の学習にもゴールが見えてきました!

>>不動産の有効活用