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【FP2級】贈与税の配偶者控除(2,000万円控除の特例)

yagihashi
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ヤギハシ先生
ヤギハシ先生

今回は「贈与税の配偶者控除の学習」です。贈与税の特例では最も出題頻度は高くなります。特例の適用条件を押さえて、簡単な計算問題も解けるようにしておきましょう。

今回の目標
  • 「贈与税の配偶者控除」の仕組みを理解する
  • 利用するための3条件を理解する
  • 計算問題を解けるようになる
カピバラくん
カピバラくん

試験前の追い込みには“直前対策note”がおすすめだぞ

贈与税の配偶者控除とは

通常、居住用財産(土地や家)の贈与を受けると贈与税が発生しますよね。

例えば、課税価格5,000万円の不動産の贈与を受けた場合、「(課税価格5,000万円ー基礎控除110万円)×贈与税率」分の贈与税が発生するわけです。

これに対して、配偶者から居住用財産や居住用財産を取得するための資金の贈与を受けた場合は、居住用財産の課税価格から2,000万円を控除できる特例があります。

これが“贈与税の配偶者控除”の特例です。

贈与税の基礎控除110万円と併用できるというのもポイントです。

カピバラくん
カピバラくん

ふうん、じゃあ合計で2,110万円控除できるってことか?

ヤギハシ先生
ヤギハシ先生

その通り!ここはとても重要なポイントです!

「贈与税の配偶者控除」と基礎控除を併用することで、最大2,110万円(2,000万円+110万円)を贈与税の相続税評価額から控除することができます。

ただし、この特例は同じ配偶者間では一生に一度しか利用することができません。

離婚して別の人と再婚すれば再度利用できますが、ケースとしては少ないでしょう。

また、あくまで「居住用不動産」が対象であり、「事業用不動産」は対象外となります。

ポイント
  • 基礎控除と合わせて合計2,110万円控除できる
  • 居住用財産そのものの贈与だけでなく、居住用財産を購入するための資金の贈与でもOK
  • 同じ配偶者間では一生に一度だけしか利用することができない
  • 事業用不動産は対象外

特例を受けるための3条件

「贈与税の配偶者控除」を利用するには、次の条件を全て満たすがあります。

贈与税の配偶者控除の3条件
  • 贈与の時点で婚姻期間が20年以上
  • 贈与を受けた居住用財産に翌年3月15日までに居住して、その後も居住し続ける見込みであること
  • 贈与税の申告書を提出すること

この3条件は超重要なので必ず覚えておきましょう。

特に「婚姻期間が20年以上」は、FP2級試験で頻出です。

同一配偶者間では一生に一度しか適用できないことと合わせて覚えておきましょう。

贈与税の申告書は、贈与税額がゼロになる場合でも提出が必要になります。例えば、贈与した住宅が2,110万円以下の場合、この特例を利用することで贈与税額はゼロになりますが、申告書の提出は必要ということです。

しばいぬくん
しばいぬくん

特例を利用したいなら申告書の提出は必須です!

違いに注意!
  • 贈与税の暦年課税・・・110万円の範囲以内なら申告不要
  • 相続時精算課税制度・・・2,500万円の範囲以内でも申告必要
  • 贈与税の配偶者控除・・・2,000万円の範囲以内でも申告必要

その他のポイント

相続発生時の取扱い

通常、相続により財産を取得した者が、相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けていた場合、贈与財産の贈与時の価額が相続財産に加算されます。

このルールを「生前贈与加算」といいます。

特定の相続人だけ贈与を受けると、他の相続人の取り分が減ってしまいますよね。そんな不公平を防ぐためのルールになります。

しかし、「贈与税の配偶者控除」を受けた贈与財産は、生前贈与加算の例外扱いになります。

つまり、贈与の時期が相続開始前3年以内であっても、「贈与税の配偶者控除」の適用を受けた贈与財産は、生前贈与加算の対象にはならないということです。

ヤギハシ先生
ヤギハシ先生

生前贈与加算は相続税のところで改めて解説します!

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店舗兼住宅の取り扱い(応用編)

「贈与税の配偶者控除」は、あくまで居住用財産が対象であり、事業用不動産は対象外であることを説明しました。

では1階が店舗で2階が住宅のような「店舗兼住宅」の場合はどうなるのでしょうか。

やや応用編ですが、店舗兼住宅の場合は次のような取扱いになります。

店舗兼住宅の取り扱い
  • 原則、居住用部分だけが「贈与税の配偶者控除」の対象になる
  • ただし、総面積の90%以上が居住用なら、全体を居住用と取り扱ってOK
しばいぬくん
しばいぬくん

店舗兼住宅の取扱いは、余裕があれば押さえておこう!

過去問チャレンジ

それでは、練習問題を解いてみましょう。

Aさんは夫のBさんより、居住用財産と株式の贈与を受けました。

贈与時の相続税評価額は、居住用財産が1,800万円、株式が500万円でした。

贈与税の配偶者控除と暦年課税の基礎控除を利用する場合、Aさんが贈与税の課税価格から控除できる金額は最大でいくらになるでしょうか?

  1. 1,800万円
  2. 1,910万円
  3. 2,000万円
  4. 2,110万円

これはFP2級学科試験の過去問を少しアレンジした問題です。

それでは解説していきます。

まず、居住用財産の相続税評価額は、贈与税の配偶者控除の上限(2,000万円)の範囲以内であるため、1,800万円全額が控除できます。

さらに、贈与税の配偶者控除は暦年課税の基礎控除110万円と併用できるため、株式500万円から110万円を控除することができますね。

これらを合計すると、1,800万円+110万円=1,910万円。

したがって、正解は「❷1,910万円」になります。

贈与税は残りの株式390万円に課せられることになります。

カピバラくん
カピバラくん

贈与税の配偶者控除が200万円余ってるが、株式に使えないのか?

ヤギハシ先生
ヤギハシ先生

残念!贈与税の配偶者控除は、あくまで居住用財産にしか使えないんだ!

まとめ

最後に「贈与税の配偶者控除」のポイントをまとめておきます。

贈与税の配偶者控除まとめ
  • 基礎控除と併用すれば、最大2,110万円まで控除が可能
  • 居住用財産または居住用財産を取得するための資金が対象(事業用は対象外)
  • 同一夫婦間では一生に一度しか利用できない
  • 婚姻期間20年以上が条件
  • 贈与税の申告書は必ず提出しなければならない
  • 生前贈与加算の対象外
ヤギハシ先生
ヤギハシ先生

今回の学習はここまでです。次回は「直系尊属からの住宅取得資金の贈与の非課税」を解説します。

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カピバラくん
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1級FP技能士/金融機関/ブロガー
金融機関16年勤務の1級FP技能士。
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