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【FP2級】相続税の課税財産と非課税財産〜みなし相続財産・生前贈与加算・債務控除

yagihashi
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ヤギハシ先生
ヤギハシ先生

今回から相続税の学習です。まずはどんなときに相続税が発生するのか基本的な仕組みを学習していきましょう!

今回の目標
  • 相続税の課税財産と非課税財産を理解する
  • 生前贈与加算の仕組みと例外を理解する
  • 債務控除と葬儀費用の扱いを理解する
カピバラくん
カピバラくん

試験前の追い込みには“直前対策note”がおすすめだぞ

相続税の課税財産

本来の相続財産

相続や遺贈によって、金銭に見積もることができる経済的な価値のある財産を取得すると相続税の課税対象となります。

例えば、銀行預金や不動産、有価証券、自身が経営する会社の株式などが相続税の課税対象になるわけです。

このような財産を「本来の相続財産」と言います。

このうち不動産は、所有権の移転登記の有無は関係なく、相続税の課税対象になります。

被相続人が生前に土地や建物を購入して、登記完了前に亡くなったとしても、その土地や建物を相続する以上、相続税の課税対象になるというわけです。

一方で、抵当権や質権は相続税の課税対象にはなりません。

抵当権や質権は主たる権利を担保するために設定するものであり、それ単独では財産を構成しないからです。

  • 土地や建物は、所有権の移転登記が未済でも相続税の課税対象
  • 抵当権や質権は、相続税の課税対象にはならない

みなし相続財産

「みなし相続財産」とは、本来の相続財産ではないものの、実質的な相続財産として相続税の課税対象になる財産のことです。

本来の相続財産とみなし相続財産の違いは、遺産分割の対象になるかどうかという点です。

本来の相続財産と異なり、みなし相続財産は受取人固有の財産とされるため、遺産分割の対象にはなりません。このため、相続を放棄した者でも受け取ることができます。

「みなし相続財産」は遺産分割の対象外ですが、相続税の課税対象にはなるということです。

具体的には次のようなものが「みなし相続財産」とされます。

みなし相続財産
  • 生命保険金(死亡保険金)・・・契約者および被保険者が被相続人である生命保険契約
  • 退職手当金(死亡退職金)・・・被相続人の死亡後3年以内に支払いが確定したもの

生命保険金(死亡保険金)は、みなし相続財産として相続税の課税対象になります。

ただし、交通事故で死亡した被害者の遺族が加害者の対人賠償保険から受け取った保険金は、相続税は非課税です。

対人賠償保険は損害保険なので非課税です。この違いは重要なので覚えておきましょう。

また、退職手当金の「死亡後3年以内に支払いが確定」という条件も頻出です。

ちなみに3年経過後に確定した退職手当金は、相続税ではなく所得税の課税対象になります。

相続税の非課税財産

ここまで相続税の課税財産を解説してきましたが、国民感情や社会政策的な見地から、相続税の課税対象にならない非課税財産があります。

相続税の非課税財産
  1. 墓地・墓石・仏壇・仏具
  2. 公益事業用財産(相続税の申告期限までに国などに寄付した相続財産)
  3. 香典
  4. 死亡保険金、死亡退職金、弔意金のうち一定額
ヤギハシ先生
ヤギハシ先生

特に❶墓地・墓石・仏壇・仏具が非課税であることは押さえておきましょう。❹は次回の講義で詳しく解説します。

未支給年金の取扱い

受給権者が死亡した時点で受け取っていない年金を“未支給年金”といいます。

未支給年金は、配偶者や子などの遺族が受け取ることができます。

ポイントは、未支給年金は相続税ではなく、一時所得として所得税の課税対象となるということです。

詳しくは、こちらの講義で解説しています。

参考
【FP2級】年金生活支援給付金と公的年金の税金(公的年金❽)
【FP2級】年金生活支援給付金と公的年金の税金(公的年金❽)

生前贈与加算

生前贈与加算とは

相続開始前7年以内に被相続人から贈与を受けた財産(生前贈与財産)は、贈与時の価額により相続財産に加算されます。

そのとき、支払い済の贈与税額は相続税額から差し引かれます。

要するに、相続開始前7年以内の贈与をなかったことにして、相続により財産を取得したことにするというイメージです。

亡くなる直前の贈与によって相続財産を減らし、相続税を節税しようとする行為を防止するための措置です。

このような措置を「生前贈与加算」と言います。

しばいぬくん
しばいぬくん

繰り返しになりますが、相続財産に加算されるのは「贈与時」の価額です。相続時ではないので、引っ掛け問題に注意しましょう。

参考

「教育資金の一括贈与」や「結婚・子育て資金の一括贈与」を受けた財産に残額がある状態で贈与者が亡くなった場合は、原則としてその残額が相続税の課税価額に加算されます。
※一部例外もあるので、詳細は以下の講義で復習しておきましょう。

【FP2級】直系尊属からの一括贈与の非課税措置〜教育資金と結婚・子育て資金の特例〜
【FP2級】直系尊属からの一括贈与の非課税措置〜教育資金と結婚・子育て資金の特例〜

生前贈与加算の例外

相続開始前7年以内の贈与であっても、生前贈与加算の対象外になるケースがあります。

生前贈与加算の例外
カピバラくん
カピバラくん

例外はよく試験に出るってやつだな

「相続時精算課税制度」や「贈与税の配偶者控除」、「直系尊属からの住宅資金等の贈与の非課税特例」を忘れてしまった方はしっかり復習しておきましょう。

債務控除と葬儀費用

債務控除

通常、借入金など被相続人が残した債務(マイナスの資産)は、相続財産から控除することができます。

つまり、現預金1億円と借入金2千万円を相続する場合、資産と債務の差額である8千万円が相続税の課税対象になるわけです。

このように、相続税を計算する際に、プラスの資産から債務を差し引くことを「債務控除」といいます。

例えば、相続財産の中に、銀行借入金や未払の医療費、所得税・固定資産税などの未払税金があった場合は、債務控除することで相続税の負担を減らすことができることになります。

ただし、債務によっては債務控除の対象にならないものがあります。

ここがFP2級試験で問われますので、しっかり押さえておきましょう。

債務控除の対象外
  • 被相続人が生前に購入した墓地や暮石の未払金
  • 遺言執行費用
  • 保証債務
  • 税理士や弁護士に対する相続税の申告費用
しばいぬくん
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特に「墓地や暮石の未払金」と「遺言執行費用」は頻出です!

葬儀費用

被相続人の葬儀に要した費用(葬儀費用)には、相続財産から控除できるものと控除できないものがあります。

例えば、通夜、葬儀、火葬、埋葬、納骨に要した費用、お寺へのお布施に要した費用などは、相続財産から控除することができます。

一方で、香典返し費用、法要費用、死体の解剖費用などは相続財産から控除することはできません。

カピバラくん
カピバラくん

ちょっとややこしいな・・・

細かいようですが、FP2級試験で問われることも多いのでしっかり整理しておきましょう。

葬儀費用の取扱い

■ 控除できるもの

  • 通夜、葬式、埋葬、火葬、納骨の費用
  • お寺へのお布施、戒名料
  • 死体の捜索、運搬費用

■ 控除できないもの

  • 香典返礼費用
  • 初七日、四十九日の法要費用
  • 死体の解剖費用
  • 死後における墓地の購入費用

FP2級試験対策で重要なのは「控除できないもの」の方です。

特に「香典返礼費用」と「法要費用」が控除できないことは、しっかり押さえておきましょう。

まとめ

FP2級対策として、今回の学習の重要ポイントをまとめておきます。

課税資産と非課税資産まとめ
  • 土地・建物は所有権の移転登記が未済でも相続税の課税対象
  • 相続放棄しても、生命保険金を受け取れば相続税の課税対象
  • 死亡後3年以内に支払い確定した死亡退職金は相続税の課税対象
  • 墓地・墓石・仏壇・仏具、香典は相続税の非課税財産
  • 生前贈与加算は「贈与時」の価額で計算
  • 墓地や暮石の未払金、遺言執行費用は債務控除の対象外
  • 香典返礼費用、法要費用は、相続財産から控除できない
ヤギハシ先生
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今回の学習範囲で1点取れます!少しややこしいけどしっかり復習しておきましょう!次回は生命保険や弔慰金の非課税限度額を学習します。

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カピバラくん
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1級FP技能士/金融機関/ブロガー
金融機関16年勤務の1級FP技能士。
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