【FP2級】生命保険金等の非課税限度額〜500万円×法定相続人の数
今回は生命保険金等の非課税限度額の学習です!生命保険金だけでなく、死亡退職金や弔慰金の非課税限度額も押さえておこう。
- 生命保険金(死亡保険金)の非課税限度額を理解する
- 死亡退職金と弔慰金の非課税限度額を理解する
- 非課税限度額の計算問題が解けるようになる
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生命保険金の非課税限度額
生命保険金(死亡保険金)の非課税限度額とは
前回の学習では、生命保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になることを解説しました。
一方で、生命保険金は遺族の生活を守るための資金という面があり、そこから税金を取るのはちょっとかわいそうですよね。
このため生命保険金に関しては、国民感情も考慮し、一定の受取金額まで非課税になる制度があります。
対象となるのは、契約者(=保険料負担者)および被保険者が被相続人である保険契約の死亡保険金を相続人が受け取った場合です。
非課税になる金額(非課税限度額)は次の通りです。
例えば、相続人が妻と長男、長女の合計3人であった場合、500万円×3人=1,500万円が非課税限度額になります。
この計算式は基本中の基本なので必ず覚えましょう!
少し応用編になりますが、各相続人の非課税金額は次の計算式で算出します。
まずは非課税限度額の合計額を算出し、死亡保険金の受取金額の割合に応じて、各相続人に非課税限度額を配賦するイメージです。
ちょっとイメージが湧かないと思うので、次の練習問題を見てみましょう。
死亡保険金5,000万円のうち、妻が3,000万円、2人の子がそれぞれ1,000万円受け取りました。妻の死亡保険金の非課税限度額はいくらになるでしょうか?
この場合、まず非課税限度額は、500万円 × 3人 = 1,500万円になります。
そして妻が受け取った死亡保険金は、全体の5,000万円のうち3,000万円です。
以上から、妻の非課税限度額は、$$1,500万円\times\frac{3,000万円}{5,000万円}= 900万円$$となります。
計算式は一見複雑だけど、実はそれほど難しくありません。しっかり計算できるようにしておこう!
相続を放棄した者の扱い
死亡保険金の非課税限度額の計算において意外と難解なのが「法定相続人の数」の考え方です。
最も重要なのは、相続を放棄した者も法定相続人の数には含めるということです。
ただし、相続を放棄した本人は死亡保険金の非課税限度額の適用を受けることはできません。
ん?どういうことだ?
要するに、相続を放棄すると本人は非課税の恩恵を受けられないけど、非課税限度額の合計額を算出する場合の頭数には入れられるということです。
例えば、妻と子A、子Bが死亡保険金を受け取ったケースを考えてみましょう。
この場合、子Bが相続を放棄していても法定相続人の数には含めるため、非課税限度額は1,500万円(500万円×3人)となります。ただし、子B自身は相続を放棄しているため、非課税の恩恵を受けることはできません。
普通養子と特別養子の扱い
普通養子も特別養子も、実子と同じく法定相続人になります。
法定相続人の数が多いほど生命保険金の非課税限度額は大きくなりますが、一方でたくさんの養子を迎え入れて節税に利用されると、国としては税収が減ってしまいます。
倫理的にもちょっと微妙ですよね。
このため、生命保険金の非課税限度額を計算する場合の養子の取扱いには、次のような制限がもうけられています。
- 普通養子は2人まで法定相続人にカウントできる
- ただし、普通養子は実子がいると1人までしかカウントできない
- 特別養子は何人でもカウントできる(実子として扱う)
普通養子と特別養子では、取扱いが異なる点に注意しましょう。
特別養子は完全に実子と同じ扱いなので制限はありません。制限があるのは普通養子の方だけです。
ちなみに、普通養子は実父母と養親の両方の相続人になりますが、特別養子は養親のみの相続人になります。忘れてしまった人は復習しておきましょう。
ケーススタディ
FP2級対策として次のようなケースを見てみましょう。
被相続人Aさんの生命保険金を各相続人が受け取った場合、生命保険金の非課税限度額の合計額はいくらになるでしょうか?
次のポイントを思い出せば簡単ですね。
- 相続を放棄した者も法定相続人の数に含める
- 被相続人に実子がいる場合、普通養子は1人までしか法定相続人の数に含める
長女Cさんは相続を放棄していますが、法定相続人の数にはカウントできます。
普通養子は、DさんまたはEさんいずれかがカウントできます。
したがって、生命保険金の非課税限度額の計算に当たっての法定相続人の数は、妻Bさん、長女Cさん、養子Dさん(または養子Eさんのいずれか)の合計3人となります。
つまり、非課税限度額は、500万円×3人=1,500万円になるということですね。
ちなみに、長女Cさんは相続を放棄しているため、非課税の恩恵を受けることはできません。
一方で、養子Dさんと養子Eさんは、どちらも非課税の恩恵を受けることができます。
普通養子は法定相続人のカウントに際しては人数の上限がありますが、非課税の恩恵は実子と同じように受けることができるわけです。
法定相続人のカウント方法はしっかり理解しておこう!
死亡退職金と弔慰金
死亡退職金の非課税限度額
従業員の死亡により勤務先から支払われる退職金を死亡退職金といいます。
死亡退職金にも、死亡保険金と同じように非課税限度額があります。
計算方法は死亡保険金と同じです。
対象となるのは、被相続人の死亡後3年以内に支給額が確定した死亡退職金です。
前回の講義の繰り返しになりますが、「死亡後3年以内」というのが超重要なので、しっかり押さえておきましょう。
弔慰金
死亡退職金と似たものとして「弔慰金」があります。
弔慰金とは、企業などが亡くなった従業員の功労のために遺族に贈る金銭のことです。
弔慰金にも一定金額が非課税になる制度があり、その上限金額は次の通りです。
普通給与の計算には賞与は含みません。また、弔慰金の名目で支払われた金銭でも、上記の金額を超える場合は死亡退職金として扱われるので注意しましょう!
まとめ
最後に重要ポイントをまとめておきます。
- 死亡保険金の非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数
※死亡退職金の計算方法も同じ - 相続を放棄した者も法定相続人の数に含める
- 普通養子は2人まで法定相続人にカウントできる
- 実子がいる場合、普通養子は1人までしかカウントできない
- 弔慰金は業務上の死亡は普通給与の36か月分、業務外の死亡は普通給与の6か月分が非課税
今回の学習はここまでです。法定相続人のカウント方法はしっかり理解しておこう。次回からは相続税の計算方法を解説していきます!
試験前の追い込みには“直前対策note”がおすすめだぞ