【徹底解説!】FP2級はどんな試験?【受検資格と難易度】
FP2級は実技試験のパターンが複数あるなど、他の資格試験に比べてちょっと複雑です。
このページでは以下の質問にお答えしながら、FP2級試験の全体像を整理していきます。
- FP2級の受検資格は?
- きんざいとFP協会の違いは?
- 実技試験はどれを選ぶべき?
- 試験範囲と難易度は?
どれか1つでも気になる方は、学習を始める前に疑問を解消しておきましょう。
FPとFP技能士
政府の「貯蓄から投資へ」の方針もあって、FPが注目されています。
FPの役目は、個人や事業者のお金の相談に乗ってアドバイスをすることです。
このため、FPには貯蓄や投資、社会保険、税務、不動産、相続・事業承継など、幅広い知識が求められます。
これら知識を体系的に身に付けられるのが「FP技能検定試験」であり、合格した人がだけが「FP技能士(ファイナンシャル・プランニング技能士)」を名乗ることができます。
FP技能士は国家資格です。
お金のアドバイスは資格がなくてもできますが、FPを名乗る人は「FP技能士」の資格を持っているのが一般的です。
FP技能士は、次のような人が目指すケースが多いです。
- 銀行や証券会社などの金融機関に勤務している人
- 金融機関への就職や転職、FPとしての独立を目指す人
- お金の知識を体系的に学んで自分の生活に生かしたい人
FP2級の受検資格
FP試験は1級〜3級までのクラスがあります。
難易度はFP3級→2級→1級の順に高くなり、最難関は1級です。
履歴書や名刺に書いて恥ずかしくないのは、FP2級以上でしょう。
3級に価値がないとは言いませんが、あくまで2級を目指すためのステップというイメージです。
FP2級試験を受験するためには、次のいずれかの条件を満たす必要があります。どれか1つでも満たしていればOKです。
- FP3級に合格した者
- FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
- 日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者
- 厚生労働省認定金融渉外技能審査3級に合格した者
「FP3級に合格」か「2年以上の実務経験」の条件を満たして受験する方が大半でしょう。
実務経験?これから資格を取るのに経験なんてないんじゃないのか?
金融機関に2年以上勤務している人は、それだけで実務経験有りとみなしてもらえるよ!
実務経験と言われると腰が引けますが、銀行などの金融機関に2年以上勤務していれば受験資格を満たします。
自己申告なので第三者の証明も不要です。
詳しくは試験運営団体であるきんざいのホームページに説明があります。
きんざいとFP協会の違い
FP試験は、金融財政事情研究会(きんざい)と日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(FP協会)が実施しています。
どちらで合格しても優劣はありません。価値は同じです。
金融機関の人は勤務先から指定されているケースが多いと思いますが、そうでない場合は自身できんざいかFP協会を選ぶことになります。
では、どちらを選ぶのが良いのでしょうか。違いを理解したうえで申込みしたいですね。
結論から言うと、「どの実技試験を受験したいか」で選ぶべきです。
FP2級は学科と実技の2つの試験で構成されており、その両方に合格しなければなりません。
このうち、学科はきんざいもFP協会も全く同一の試験なのですが、実技は個人の選択により試験問題が異なります。
FP2級の実技試験は全部で5種類あります。
運営機関 | 実技試験の種類 | 受検者の比率 |
---|---|---|
きんざい | 個人資産相談業務 | 42% |
生保顧客資産相談業務 | 16% | |
損保顧客資産相談業務 | 0.3% | |
中小事業主相談業務 | 3% | |
FP協会 | 資産設計相談業務 | 38% |
例えば「中小事業主相談業務」であれば中小企業の事業承継に関係する出題が多くなります。
詳細はきんざいのホームページとFP協会のホームページを参考にしてみてください。
受験者の割合を見てわかる通り、きんざいの「個人資産相談業務」か、FP協会の「資産設計相談業務」を選択する人が多いです。
特にこだわりがなければ、いずれかを選択すると良いでしょう。
FP2級に続いてFP1級の合格まで狙っている人は、きんざいの「中小事業主相談業務」を選択しても良いかもしれません。
FP1級の試験は企業オーナーや富裕層向けのコンサルティングに関係する出題が多く、「中小事業主相談業務」の試験問題と重なる点が多いからです。
ちなみに、複数の実技に合格することも可能です。
例えば「個人資産相談業務」に合格している人が、次回は「中小事業主相談業務」や「資産設計相談業務」を受検することもできるわけです。
試験範囲
FPの試験は、次の6分野から出題されます。
難易度が異なるだけで、出題分野は1級〜3級すベてに共通です。
項目だけ見てもイメージが湧かないと思うので、詳細は以下でご確認ください。
- ファイナンシャル・プランニングと倫理
- ファイナンシャル・プランニングと関連法規
- ライフプランニングの考え方・手法
- 社会保険
- 公的年金
- 企業年金・個人年金等
- 年金と税金
- ライフプラン策定上の資金計画
- 中小法人の資金計画
- ローンとカード
- ライフプランニングと資金計画の最新の動向
- リスクマネジメント
- 保険制度全般
- 生命保険
- 損害保険
- 第三分野の保険
- リスク管理と保険
- リスク管理の最新の動向
- マーケット環境の理解
- 預貯金・金融類似商品等
- 投資信託
- 債券投資
- 株式投資
- 外貨建商品
- 保険商品
- 金融派生商品
- ポートフォリオ運用
- 金融商品と税金
- セーフティネット
- 関連法規
- 金融資産運用の最新の動向
- わが国の税制
- 所得税の仕組み
- 各種所得の内容
- 損益通算
- 所得控除
- 税額控除
- 所得税の申告と納付
- 個人住民税
- 個人事業税
- 法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
- 消費税
- 会社、役員間および会社間の税務
- 決算書と法人税申告書
- 諸外国の税制度
- タックスプランニングの最新の動向
- 不動産の見方
- 不動産の取引
- 不動産に関する法令上の規制
- 不動産の取得・保有に係る税金
- 不動産の譲渡に係る税金
- 不動産の賃貸
- 不動産の有効活用
- 不動産の証券化
- 不動産の最新の動向
- 贈与と法律
- 贈与と税金
- 相続と法律
- 相続と税金
- 相続財産の評価(不動産以外)
- 相続財産の評価(不動産)
- 不動産の相続対策
- 相続と保険の活用
- 事業承継対策
- 事業と経営
- 相続・事業承継の最新の動向
めちゃくちゃ大変そうだな…
だけどね、しっかり学習すればお金の知識を体系的に身につけることができるよ!
出題形式と難易度
FP2級試験は学科と実技の2つで構成されており、両方に合格しなければなりません。
それぞれの出題形式と合格ラインは、次の通りです。
出題形式 | 時間 | 合格ライン | 合格率 | |
---|---|---|---|---|
学科 | 四択 | 120分 | 36点/60点 | 33% |
実技 | 記述式 | 90分 | 30点/50点 | 39% |
学科はマークシート、実技は記述です。
学科・実技ともに正答率60%で合格できます。
合格率は30%台なので、だいたい3人に1人くらいが合格するイメージですね。
難しそうに感じるかもしれませんが、無勉で受験する人も一定数いるため、実態としては40〜50%くらいの合格率と考えて良いと思います。
しっかり勉強して試験に臨めば、決して合格が難しい試験ではありません!
試験日程(スケジュール)
試験は原則として毎年5月、9月、1月の年3回実施されます。
試験当日は午前中に学科、午後に実技を受検します。
長丁場になるので、軽い昼食(軽食)を準備しておくと良いでしょう。
なお、実技試験の種類によっては実施されない月もあるので注意が必要です。
詳しくは、きんざいのホームページ、またはFP協会のホームページで確認しておきましょう。
なお、きんざいとFP協会の試験日時は常に同じなので、ダブル受験はできません。
受検手数料
FP2級の受検手数料は次の通りです。
種目 | 受検手数料 |
---|---|
学科 | 5,700円 |
実技 | 6,000円 |
合計 | 11,700円 |
受検手数料はきんざいでもFP協会でも同じです。
一部合格者以外は、学科と実技を同時に申込みすることになるため、受検手数料は合計11,700円かかると思っておきましょう。
生涯有効な国家資格と考えれば、決して高くはないはず!
さいごに
FP2級は試験範囲も広く簡単ではありませんが、難関資格というわけではありません。
しっかり学習すれば十分合格できる試験です。
特に近年はFPに一層の注目が集まっており、まさに旬な資格となっています。
ぜひチャレンジしてみてください。