【FP2級】不動産取得時の税金〜不動産取得税と登録免許税
今回は”不動産取得時の税金”として、不動産取得税と登録免許税を中心に解説します。税金の目的、税率、特例をおさえておきましょう。
- 不動産取得税の対象取引と税率、特例を理解する
- 登録免許税の対象取引と税率を理解する
- 不動産取引における印紙税と消費税を理解する
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不動産に関わる税金
不動産と税金は切っても切り離せません。
たとえば、土地・建物を取得した時には不動産取得税が課せられ、保有期間中は固定資産税が発生します。
まずは不動産に関わる税金の全体像を見てみましょう。
- 不動産取得税(都道府県税)
- 登録免許税(国税)
- 印紙税(国税)
- 消費税(国税)
- 固定資産税(市町村税)
- 都市計画税(市町村税)
いろんな税金があるんだな。腹が痛くなりそうだ
種類は多いけど出題ポイントは決まっています。今回は不動産取得時の税金を学習していきます。
不動産取得税
不動産取得税とは
まずは“不動産取得税”を解説していきます。
不動産取得税とは、土地や建物を取得した人に課せられる都道府県税です。
売買や交換、贈与により土地や建物を取得すると課税されます。
ただし、相続(遺贈を含む)による取得は非課税となります。
相続は本人の意思に基づくものではないため、税務上の配慮がされているわけです。
このように贈与と相続で取扱いが異なる点はFP2級試験で頻出です。
また、不動産取得税は所有権移転登記が未登記でも課税されます。
所有権移転登記をするかは任意ですが、税金はしっかり払わないとダメだということです。
無償で不動産を取得した時も不動産取得税は課税されます。合わせて覚えておこう!
不動産取得税の計算式
不動産取得税は次のように計算されます。
不動産取得税額は、固定資産税評価額を基準に決まります。
このような税額算出の基準のことを“課税標準”といいます。
固定資産税評価額は、市町村が3年ごとに決定する土地や建物の評価額です。
忘れてしまったという人は「不動産の評価」の講義で復習しておきましょう。
不動産取得税の税率は原則4%です。
ただし、土地または住宅を取得する場合は、特例として3%に軽減されます。
たとえば、固定資産税評価額2,000万円の住宅を取得した場合は、
2,000万円×3%=60万円
の不動産取得税が発生することになります。
取得するのがオフィスビルの場合は、原則どおり4%の税率で計算することになります。
なんで住宅は税率が低いんだ?
家を買う人が増えればお金が回って経済がよくなります。それを後押しするために、国が意図的に税率を下げているわけです。
不動産取得税の特例
次に不動産取得税の特例を押さえておきましょう。
- 新築住宅(50㎡以上240㎡以下)を取得した場合、固定資産税評価額から最大1,200万円を控除できる
※マンションは40㎡以上240㎡以下
※認定長期優良住宅は最大1,300万円
つまり、固定資産税評価額2,000万円の新築住宅を取得した場合、不動産取得税は「(2,000万円−1,200万円)×3%=24万円」になります。
本来であれば「2,000万円−1,200万円×4%=60万円」の不動産取得税がかかるので、軽減効果はかなり大きいです。
建物は”240㎡以内”という条件も重要です。あくまで一般庶民向けの特例であり、豪邸を建てるお金持ちは対象外だということです。
なお、中古住宅も築年数に応じて100万円〜1,200万円の控除を受けることができます。
ただし、中古住宅の場合は建築後20年以内(耐火建築物は25年以内)または新耐震基準に適合しているなどの条件があります。
住宅取得を促進するための特例ではありますが、古すぎる建物や耐震基準を満たさない建物は対象外だと覚えておきましょう。
登録免許税
登録免許税とは
土地や建物を取得すると通常、第三者に対抗するために登記所(法務局)で登記を行います。
そして不動産の登記を行う際に発生するのが“登録免許税”です。
登録免許税は国税です。登記するだけで税金を取るわけですから国は欲張りですね。
所有権移転登記、所有権保存登記、抵当権設定登記などの登記を行う際に課税されます。
ただし、表題部の登記には課税されません。表題部の登記は国が義務として定めており、所有者が任意で行う権利部の登記とは扱いが異なるということです。
注意しなければならないのは、相続や遺贈の場合でも登録免許税は発生するということです。
この点は、不動産取得税と異なるので混同しないようにしましょう。
登録免許税の税率
登録免許税は次のように計算されます。
不動産取得税と同じく、固定資産税評価額が課税標準になります。
ただし、抵当権設定登記の場合は債権金額が課税標準になります。
たとえば、3,000万円の住宅ローンに対する抵当権を設定する場合、債権金額は3,000万円なので「3,000万円×税率」が登録免許税の金額になるわけです。
税率は登記の内容によって異なりますが、相続による取得の場合は税率が軽減されます。
FP2級対策として以下の税率だけはおさえておきましょう。
印紙税
印紙税とは、契約書や領収書などの課税文書に対して課せられる国税です。
不動産取引では、売買契約書や土地の賃貸借契約書などが対象になります。
これらの契約書に必要な金額分の収入印紙を貼付し、消印をしたうえで納税します。
納税義務者は課税文書の作成者です。
当事者に売主と買主がいる場合は、両名が連帯して納付する義務を負います。
FP2級試験対策としておさえておきたいのは、“過怠税(かたいぜい)”の取扱いです。
過怠税というのは罰金みたいなものです。
具体的にどのような罰金が取られるのか、以下の点をおさえておきましょう。
- 印紙に消印を行わなかった場合、その印紙と同額の過怠税が課せられる
- 印紙を貼付しなかった場合、本来必要な印紙税の2倍の過怠税が課せられる(本来貼付すべき印紙税と合わせて3倍の支払い)
消費税
不動産取引では、消費税が発生するケースとしないケースがあります。
次の原則を押さえておきましょう。
- 土地の取引は非課税。
- 建物の取引は課税。
ただし、住宅の貸付だけは非課税。
建物の取引には課税されますが、土地の取引と住宅の貸付の取引は非課税です。
消費税で問われるのはほとんどここだけです。
過去問チャレンジ
FP2級試験対策として、実際の過去問を見てみましょう。
不動産の取得に係る税金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 不動産取得税は、相続により不動産を取得した場合であっても課される。
- 所定の要件を満たす住宅を新築した場合、不動産取得税の課税標準の算定に当たっては、一戸につき最高1,500万円が価格から控除される。
- 登録免許税は、相続により不動産を取得した場合の所有権移転登記であっても課される。
- 登録免許税は、建物を新築した場合の建物表題登記であっても課される。
(2021年9月 FP2級学科)
それでは解説していきます。
❶不適切。
不動産取得税は、相続により取得した財産には課税されません。これに対して、贈与による取得は課税対象なので、ひっかけ問題に注意しましょう。
❷不適切。
新築住宅を取得した場合に固定資産税評価額から控除できる金額は、最大1,200万円です(認定長期優良住宅は1,300万円)。設問は1,500万円としているので誤りです。
❸適切。
設問のとおり、登録免許税は相続による取得した財産も課税対象です。ただし、相続による取得の場合、税率は0.4%に軽減されます。❶の不動産取得税との違いに注意しましょう。
❹不適切。
表題登記の場合、登録免許税は課税されません。課税されるのは、所有権移転登記など権利部の登記です。
以上により、正解は❸です。
今回の学習はここまでです。少し覚えることが多かったですね。次回は”不動産保有時の税金”を解説していきます。
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