【FP2級】年金生活支援給付金と公的年金の税金(公的年金❽)
いよいよ公的年金の最終回!ラストは”年金生活者支援給付金”と”公的年金の税金”を解説します。最後まで気を抜かずにいきましょう。
- 年金生活者支援給付金を理解する
- 公的年金の税制(税金)を理解する
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年金生活者支援給付金
年金生活者支援給付金とは
“年金生活者支援給付金”とは、所得が少ない人の公的年金に上乗せされる給付金です。
消費税率10%への引き上げに合わせて2019年から支給が開始されました。
年金生活者支援給付金は、受給している年金の種類に応じて呼び方が変わります。
- 老齢基礎年金の受給者 ➡︎ 老齢年金生活者支援給付金
- 障害基礎年金の受給者 ➡︎ 障害年金生活者支援支援金
- 遺族基礎年金の受給者 ➡︎ 遺族年金生活者支援給付金
年金生活者支援給付金の受給要件
年金生活者支援給付金は生活が苦しい人のための給付です。
このため受給するには、前年の所得が一定金額以下であることが要件となります。
加えて、”老齢年金生活者支援給付金”の場合は、同一世帯の全員が住民税非課税であることも要件となります。
生活保護を受けていたり、前年の所得金額が市町村の条例で定める金額未満の場合に住民税が非課税になります。
年金生活者支援給付金の金額
年金生活者支援給付金の金額は、原則として月額5,310円(2024年度)です。
ただし、以下のポイントをおさえておきましょう。
- 老齢年金生活者支援給付金は、国民年金の保険料納付期間に応じて変動
- 障害年金生活者支援給付金は、障害等級2級は月額5,310円、障害等級1級は月額6,638円(5,310円×1.25倍)
- 遺族年金生活者支援給付金は、一律で月額5,310円
過去問チャレンジ
FP2級試験対策として実際の過去問を見てみましょう。
年金生活者支援給付金制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 一定の所得基準以下等の要件を満たす65歳以上の老齢基礎年金の受給者には、受給者の保険料納付済期間等の長短にかかわらず、老齢年金生活者支援給付金として月額5,030円(2021年度価額)が支給される。
- 一定の所得基準以下にある障害基礎年金の受給者には、受給者の障害の程度にかかわらず、障害年金生活者支援給付金として月額5,030円(2021年度価額)が支給される。
- 一定の所得基準以下にある遺族基礎年金の受給者には、月額5,030円(2021年度価額)に受給者の扶養親族の人数に応じた額を加算した額が遺族年金生活者支援給付金として支給される。
- 年金生活者支援給付金は、原則として、毎年2月、4月、6月、8月、10月および12月に、それぞれの前月までの2ヵ月分が支給される。
※設問の”月額5,030円”は試験当時(2021年度)の価額です。
それでは解説していきます。
❶不適切。
老齢年金生活者支援給付金は、国民年金の保険料納付済期間に応じて変動します。設問は”納付済期間の長短にかかわらず”という記載が誤りです。
❷不適切。
障害年金生活者支援給付金の額は障害等級に応じて異なり、障害等級1級は2級の1.25倍となります。設問では”障害の程度にかかわらず”という記載が誤りです。
❸不適切。
遺族年金生活者支援給付金の金額は、扶養親族(遺族)の人数に関わらず一律です。設問は”受給者の扶養親族の人数に応じた額を加算”としているので誤りです。そのような加算はありません。
❹適切。
設問のとおりです。年金生活者支援給付金は所得が少ない人の公的年金に上乗せされる給付金です。このため、年金支給日と同じ日(偶数月の15日)に支給されます。
以上により、正解は❹となります。
公的年金の税制(税金)
ここからは公的年金に関する税制(税金)を解説します。
タックス分野でも学習しますが、ポイントだけは覚えてしまいましょう。
社会保険料控除
国民年金や厚生年金の保険料は、全額が社会保険料控除の対象となります。
保険料として支払った金額は所得から控除して所得税額が計算されるということです。
本人の保険料だけでなく、生計を一にする配偶者や親族のために負担した保険料も控除の対象となります。
例えば、父が子の公的年金保険料を負担した場合、父は子の保険料分も社会保険料控除の適用を受けられるということです。
各種年金の課税・非課税
次に、受け取った年金に対する税金の取扱いです。
ポイントは、老齢年金は所得税の課税対象、障害年金と遺族年金は非課税ということです。
- 老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)➡︎ 課税(雑所得)
- 障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)➡︎ 非課税
- 遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)➡︎ 非課税
老齢基礎年金や老齢厚生年金などの老齢年金は、公的年金等控除額を差し引いた金額が雑所得として所得税の課税対象となります。
公的年金等控除額は、タックス分野で改めて学習します。
未支給年金の取扱い
老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給権者が死亡した時点で受け取っていない年金を“未支給年金”といいます。
未支給年金は遺族が代わりに受給し、一時所得として所得税の課税対象となります。
過去問チャレンジ
最後にFP2級試験対策として、実際の過去問を見てみましょう。
公的年金等に係る税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
- 老齢基礎年金および老齢厚生年金は、その年中に受け取る当該年金の収入金額から公的年金等控除額を控除した金額が一時所得として所得税の課税対象となる。
- 障害基礎年金および障害厚生年金は、所得税の非課税所得となる。
- 老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給者が死亡した場合において、その者に支給されるべき年金給付のうち、まだ支給されていなかったもの(未支給年金)は、当該年金を受け取った遺族の一時所得として所得税の課税対象となる。
- 国民年金の保険料および国民年金基金の掛金は、いずれも社会保険料控除として所得税の所得控除の対象となる。
それでは解説していきます。
❶不適切。
老齢基礎年金および老齢厚生年金は、公的年金等控除額を控除した金額が“雑所得”として課税されます。設問は”一時所得”としている点が誤りです。
❷適切。
設問のとおりです。障害年金および遺族年金は所得税非課税です。一方、老齢年金は所得税(雑所得)の課税対象となります。
❸適切。
設問のとおりです。受給者本人が受け取る老齢年金は雑所得となりますが、本人が受給するはずだった老齢年金を別の者(遺族)が受け取った場合は一時所得として扱われます。少し細かい内容ですが、余裕があれば覚えておきましょう。
❹適切。
設問のとおりです。国民年金や厚生年金の保険料、国民年金基金の掛金は、いずれも社会保険料控除の対象です。国民年金基金については、次回の講義で解説します。
以上により、正解は❶となります。
長かった公的年金もこれで終了です。FP試験では公的年金を避けては通れません。何度も復習しておきましょう。次回は”確定拠出年金”などの企業年金を解説します。
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