【FP2級】6つの係数とライフプランニング〜6つの係数を分かりやすく解説
今回はライフプランニングと6つの係数を学習します。6つの係数は最初の難関!分かりやすく解説していきます。
- ライフプランニングの考え方を理解する
- 6つの係数を使った計算問題が解けるようになる
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ライフプランニング
ライフプランニングとは
ライフプランニンとは、”人生設計すること”を指します。
人生には就職、結婚、子育て、住宅の購入など、様々なライフイベントが発生します。
ライフイベントでは多額の資金を要するため、ライフイベントを予測して計画的に資金を準備しておくことが重要です。そしてそのアドバイスを行うのがFPの重要な仕事となります。
具体的なライフプランニングの進め方として、まずは顧客へのヒアリングを通じてライフイベント表やキャッシュフロー表を作成します。
キャッシュフロー表とは、未来のライフイベントに向けた資金計画を表にしたものです。
現在の貯蓄を運用したり、年間の収支を積み立てて数年後にいくらのお金が準備できるかといったことを整理していきます。
教育資金、住宅取得資金、老後資金を”人生の三大資金”と言います。
可処分所得とは
キャッシュフロー表を作成する際におさえておきたいのが“可処分所得”の考え方です。
給与所得者の方なら分かると思いますが、額面給与が受け取れるわけではありません。実際に手元に入るのは、税金や社会保険料が差し引かれた金額になりますよね。
この実際に手元に残った所得を”可処分所得”と呼び、FP2級では計算問題が出題されることがあります。
可処分所得の計算方法はしっかりおさえておきましょう。
過去問チャレンジ
可処分所得の計算について、実際の過去問を見てみましょう。
会社員Aさんの2020年分の収入等の金額は、下記<資料>のとおりである。下記<資料>から算出されるAさんの可処分所得の金額として、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
<資料>
【収入金額等】
給与収入 700万円
給与所得控除 180万円
【税金・社会保険料】
所得税・住民税 60万円
社会保険料 90万円
【所得税の所得控除】
配偶者控除 38万円
基礎控除 48万円
- 434万円
- 464万円
- 520万円
- 550万円
(2021年5月 FP2級学科)
それでは解説していきます。
可処分所得の計算式は「年収ー(所得税・住民税+社会保険料)」でした。
この式に当てはめると、設例の可処分所得は「700万円ー(60万円+90万円)=550万円」となります。
従って、正解は❹となります。
設例に記載の給与所得控除・配偶者控除・基礎控除は可処分所得の計算には関係ありません。引っ掛け問題なので注意しましょう。
6つの係数
6つの係数とは
キャッシュフロー表をつくる際、例えば「100万円を年2%で運用すると5年後にはいくらになるか?」とか、「10年後の学費を準備するために毎年いくら積立てれば良いか?」といったことを計算する必要が出てきます。
こういった計算を簡単に行うために用いるのが6つの係数です。
それぞれの使い方を見ていきましょう。
全くイメージが湧かないぞ
そうだよね。ここから各係数を分かりやすく解説していきます!
【一括系】終価係数と現価係数
まずは、“終価係数”と“現価係数”です。
この2つはセットで覚えておきましょう。
- 終価係数:元本を複利で運用すると将来いくらになるかを求める
➡︎ 元本 × 終価係数 = 将来の金額 - 現価係数:将来の目標金額を達成するために必要な元本を求める
➡︎ 将来の目標金額 × 現価係数 = 必要な元本
現在の元本から将来の金額を求めるのが終価係数、反対に、将来の目標金額から現在の必要元本を求めるのが現価係数です。
2つの関係を図に示すと以下のとおりです。
イメージを定着させるため、早速練習問題を見てみましょう。
元本100万円を年率2%の複利で運用すると、10年後いくらになるでしょう?
<資料>年率2%、期間10年の各種係数
終価係数 | 1.2190 |
現価係数 | 0.8203 |
年金終価係数 | 10.9497 |
減債基金係数 | 0.0913 |
年金現価係数 | 8.9826 |
資本回収係数 | 0.1113 |
現在の元本から将来の金額を求めるため、“終価係数”を使います。
1,000,000円×1.2190=1,219,000円
100万円の元本を毎年2%で複利運用すれば、10年後には1,219,000円になるということですね。
年率2%で複利運用して10年後に100万円を受け取るには、元本はいくら必要になるでしょう?
<資料>年率2%、期間10年の各種係数
終価係数 | 1.2190 |
現価係数 | 0.8203 |
年金終価係数 | 10.9497 |
減債基金係数 | 0.0913 |
年金現価係数 | 8.9826 |
資本回収係数 | 0.1113 |
将来の目標金額を達成するために必要な元本を求めるため、“現価係数”を使います。
1,000,000円×0.8203=820,300円
10年後に100万円を得るには、元本820,300円を年2%で複利運用すれば良いということです。
【積立系】年金終価係数と減債基金係数
次に“年金終価係数”と“減債基金係数”を解説します。
これが6つの係数で2つ目のセットです。
- 年金終価係数:毎年一定額の積立てすると将来いくらになるかを求める
➡︎ 毎年の積立て額 × 年金終価係数 = 将来の金額 - 減債基金係数:将来の目標金額を達成するために必要な毎年に積立て額を求める
➡︎ 目標金額 × 減債基金係数 = 毎年必要な積み立て金額
毎月の積立て額から将来の金額を求めるのが年金終価係数、反対に、将来の目標金額から必要な毎年の積立て金額を求めるのが現価係数です。
2つの関係を図に示すと以下のとおりです。
イメージが湧くように練習問題を見てみましょう。
毎年10万円を積立てしながら年率2%の複利運用すると、10年後にはいくらになっているでしょう?
<資料>年率2%、期間10年の各種係数
終価係数 | 1.2190 |
現価係数 | 0.8203 |
年金終価係数 | 10.9497 |
減債基金係数 | 0.0913 |
年金現価係数 | 8.9826 |
資本回収係数 | 0.1113 |
毎月の積立て額から将来の金額を求めるため、“年金終価係数”を使います。
年金終価係数の式に当てはめると次のようになります。
10万円×10.9497=1,094,970円
難しくありませんね。
毎年10万円ずつ積立て、2%の複利で運用すれば、10年後には1,094,970円になっているということです。
年率2%で複利運用しつつ10年後に100万円貯蓄するためには、毎年いくらずつ積立すればよいでしょうか?
<資料>年率2%、期間10年の各種係数
終価係数 | 1.2190 |
現価係数 | 0.8203 |
年金終価係数 | 10.9497 |
減債基金係数 | 0.0913 |
年金現価係数 | 8.9826 |
資本回収係数 | 0.1113 |
将来の目標金額を達成するために必要な積立て額を求めるため、“減債基金係数”を使います。
100万円×0.0913=91,300円
10年後に100万円貯蓄するためには、毎年91,300円ずつ積立て年2%で運用すればよいということになります。
【取崩系】年金現価係数と資本回収係数
最後に“年金現価係数”と“資本回収係数”です。
これが6つの係数で最後の組み合わせとなります。
- 年金現価係数:毎年一定金額を受け取るために必要な元本を求める(または 年間の返済金額から借入金の総額を求める)
➡︎ 毎年受け取りたい金額 × 年金現価係数 = 必要な元本(または 年間返済額 × 年金現価係数 = 借入金の総額) - 資本回収係数:元本を取崩して毎年受け取れる金額を求める(または 借入金の総額から年間の返済金額を求める)
➡︎ 元本 × 資本回収係数 = 年間の受取り金額(または 借入金の総額 × 資本回収係数 = 年間返済額)
少し難しいので、分かりやすく丁寧に解説していきます。
毎年一定金額を受け取るために必要な元本を求めるのが年金現価係数、反対に、元本を取崩して毎年受け取れる金額を求めるのが資本回収係数です。
ここでいう”元本”を”借入金”に置き換えても同じことがいえます。
すなわち、毎年の返済額から当初の借入金総額を求める時には年金現価係数、反対に、借入金総額から毎年の返済額がいくらになるかを求める時には資本回収係数が使えるということです。
2つの係数の関係を図で示すと以下のようになります。
分かりづらいな・・・
そんなときは練習問題を解いてみるのが近道です!
それでは今回も練習問題を見てみましょう。
年率2%で複利運用しながら毎年100万円を10年間受け取るために必要な元本はいくらになるでしょう?
<資料>年率2%、期間10年の各種係数
終価係数 | 1.2190 |
現価係数 | 0.8203 |
年金終価係数 | 10.9497 |
減債基金係数 | 0.0913 |
年金現価係数 | 8.9826 |
資本回収係数 | 0.1113 |
毎年一定金額を受け取るために必要な元本を求めるため、年金現価係数を使います。
100万円×8.9826=8,982,600円
例えば、70歳から80歳にかけて毎年100万円(合計1,000万円)を受取りたいのであれば、8,982,600円を用意して、毎年100万円受け取りつつ2%で運用すればよいということですね。
仮に「年2%の借入金利で年間100万円ずつ返済する場合の借入金の総額はいくらになるか?」という問題だったとしても、答えは全く同じになります。
1,000万円の元本を年率2%で複利運用しつつ、10年間で取り崩す場合、年間の受け取り金額はいくらになるでしょう?
<資料>年率2%、期間10年の各種係数
終価係数 | 1.2190 |
現価係数 | 0.8203 |
年金終価係数 | 10.9497 |
減債基金係数 | 0.0913 |
年金現価係数 | 8.9826 |
資本回収係数 | 0.1113 |
元本を取崩して毎年受け取れる金額を求めるため、資本回収係数を使います。
1,000万円×0.1113=1,113,000円
元本1,000万円を年2%で複利運用すれば、1,113,000円を10年間受け取れるということです。
最後にもう1問だけ確認しましょう。FP2級対策として、ぜひとも押さえておきたい問題です。
1,000万円を金利2%で借入れ10年間で返済する場合、毎年の返済額はいくらになるでしょう?
<資料>年率2%、期間10年の各種係数
終価係数 | 1.2190 |
現価係数 | 0.8203 |
年金終価係数 | 10.9497 |
減債基金係数 | 0.0913 |
年金現価係数 | 8.9826 |
資本回収係数 | 0.1113 |
借入金の総額から年間の返済金額を求めるため、資本回収係数を使います。
実は練習問題❻と全く同じ計算になります。
1,000万円×0.1113=1,113,000円
1,000万円を金利2%で借りた場合、10年で返済するには毎年1,113,300円ずつ返済していく必要があるということです。
過去問チャレンジ
それではFP2級試験対策として実際の過去問を解いてみましょう。
ライフプランの作成の際に活用される下記<資料>の各種係数に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
<資料>年率2%、期間10年の各種係数
終価係数 | 1.2190 |
現価係数 | 0.8203 |
年金終価係数 | 10.9497 |
減債基金係数 | 0.0913 |
年金現価係数 | 8.9826 |
資本回収係数 | 0.1113 |
- 元本100万円を10年間にわたり、年率2%で複利運用した場合の元利合計額は、「100万円 ×1.2190」で求められる。
- 年率2%で複利運用しながら10年後に100万円を得るために必要な毎年の積立額は、「100 万円×0.0913」で求められる。
- 10年間にわたり、年率2%で複利運用しながら、毎年100万円を受け取るために必要な元本は、 「100万円×10.9497」で求められる。
- 年率2%で複利運用しながら10年後に100万円を得るために必要な元本は、「100万円× 0.8203」で求められる。
(2022年5月 FP2級学科)
それでは解説をしていきます。
❶適切。
設問のとおりです。元本を複利運用して将来の金額を求めるときは、”終価係数”を使用します。
❷適切。
設問のとおりです。目標金額を達成するために必要な毎年の積立て額を求めるときは、”減債基金係数”を使用します。
❸不適切。
毎年一定金額を受け取るために必要な元本を求めるときは、”年金現価係数”を使用します。設問のケースでは「100万円×8.9826」により求めます。
❹適切。
設問のとおりです。目標金額を達成するために必要な元本を求めるときは、”現価係数”を使用します。
以上により、正解は❸となります。
6つの係数のまとめ
最後に6つの係数を改めて整理しておきましょう。
6つ覚えるというより、3組として覚えておくと分かりやすいです。
- 一括系
☑︎元本 × 終価係数 = 将来の金額
☑︎将来の目標金額 × 現価係数 = 必要な元本 - 積立系
☑︎毎年の積立て額 × 年金終価係数 = 将来の金額
☑︎目標金額 × 減債基金係数 = 毎年必要な積み立て金額 - 取崩系
☑︎毎年受け取りたい金額 × 年金現価係数 = 必要な元本
(年間返済額 × 年金現価係数 = 借入金の総額)
☑︎元本 × 資本回収係数 = 年間の受取り金額
(借入金の総額 × 資本回収係数 = 年間返済額)
覚えられるか不安だな
練習問題を繰り返せば大丈夫です!次回は”住宅資金”を解説します。
試験対策には“直前対策note(2025年1月試験対応)”がおすすめだぞ