*このページは2020年7月26日に更新しました。
贈与税とは
贈与を受けた人(受贈者といいます)が納めなければならない税金が「贈与税」です。
贈与税の課税の方法は「暦年課税」と「相続時精算課税制度」の2つがありますが、今回は「暦年課税」について解説していきます。
次の2つは贈与税ではなく、相続税の課税対象になります。
- 「死因贈与」で受け取った財産
- 贈与者の相続開始前3年以内に受け取った財産
贈与税額の計算
暦年課税による贈与税の支払い金額は、次の式で計算されます。
FP2級以上では基本中の基本なので必ず覚えておきましょう。
贈与税額=(贈与税の課税価格 − 基礎控除110万円)×税率
みなし贈与財産と非課税財産
贈与税の課税価格とは、1月1日から12月31日までに受けた財産の合計額です。
みなし贈与財産は含みますが、非課税財産は含みません。
「みなし贈与財産」とは、例えば次のようなものです。
保険金 | 保険料を負担した者以外が受け取った保険金 (例)父が支払っていた保険の満期受取金を娘が受け取った |
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債務免除 | 債務免除による利益を受けた場合 (例)1,000万円の借金をチャラにしてもらった |
低額譲渡 | 著しく低い価格で財産を譲り受けた場合 (例)2,000万円の土地を500万円で譲りうけた(2,000万円の贈与があったものと見なされる) |
「非課税財産」とは、例えば次のようなものです。
非課税と言うくらいですから、贈与税がかからない贈与を指します。
- 法人から個人への贈与財産
※贈与税ではなく、所得税や住民税が課税されます。 - 親から子に対する教育費や仕送りなどの援助
- 香典、祝物、お見舞金
- 離婚による財産分与
- 特定障害者扶養信託契約に基づき、特定障害者が受け取る信託財産(上限6,000万円)
親から子への仕送りは非課税財産ですが、子供が生活費ではなく、例えば資産運用(株の購入など)に使ってしまうと、贈与税の課税対象になってしまうので注意が必要です。
また、離婚による財産分与や香典・祝金・お見舞金であっても、社会通念上、明らかに高額な場合は贈与税の課税対象になる場合があります。
基礎控除は110万円!
贈与税の基礎控除は110万円です。
1年間で1,000万円の贈与を受けた人は、110万円を差し引いた890万円に対して贈与税がかかることになります。
一方で、1年間で贈与を受けた金額が110万円以下であれば、贈与税はゼロになります。
この場合、申告も不要になります。
贈与税はとても高い!
贈与税は、贈与を受けた金額が大きくなればなるほど税率が上がる「累進課税」です。
例えば、贈与を受けた額が200万円であれば税率は10%ですが、贈与を受けた額が3,000万円を超えると税率が55%にまで跳ね上がります(2020年度)。
また「特例贈与財産」の場合は、一般贈与財産よりも税率が低く設定されています。
特例贈与財産とは、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上の人が直系尊属から贈与を受けた財産のことです。直系尊属とは、両親や祖父母のことです。
赤の他人から受けた贈与よりも、両親や祖父母から受けた贈与の方が、税制上優遇されているということですね。
贈与税の申告と納付
贈与税の申告
繰り返しになりますが、贈与を受けた金額が110万円以下で贈与税額がゼロの場合は、申告書を提出する必要はありません。
一方で、納付すべき贈与税がある場合は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に、贈与税の申告書を提出しなければなりません。
「所得税」の確定申告期間は、2月15日から3月15日です。
混同しないようにしましょう!
申告書の提出先は、受贈者の居住地を管轄する税務署になります。
贈与者の居住地ではないので、ひっかけ問題に気をつけましょう。
条件を満たせば「延納」もできる
贈与税は申告書の提出期限までに、金銭で一括納付するのが原則です。
一括納付ができない場合は、最長5年まで「延納」を選択することができます。
延納とは、分割して収めることです。
ただし、延納を選択するには、次のような条件があります。
- 期限までに申告書を提出し、税務署長の許可を得ること
- 贈与税額が10万円を超えていること
- 担保を提供すること
※ただし、延納期間が3年以内かつ延納税額が100万円未満の場合は担保不要