不動産に関わる税金
不動産と税金は切っても切り離せません。
例えば、土地・建物などの不動産を取得した時には不動産取得税が課せられ、保有期間中は毎年固定資産税が発生します。
まずは不動産に関わる税金の全体像を見てみましょう。
不動産取得時の税金
不動産取得税 | 土地・建物を取得した者に課せられる都道府県税 |
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登録免許税 | 不動産の登記をする際に課せられる国税 |
印紙税 | 契約書や領収書などの課税文書に課せられる国税 |
消費税 | 建物の売買に課せられる国税(土地は非課税) |
不動産保有時の税金
固定資産税 | 不動産の所有者に課せられる市町村税 |
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都市計画税 | 市街化区域の不動産の所有者に課せられる市町村税 |
不動産取得税
不動産取得税とは
ここからは不動産取得時の税金の1つ、「不動産取得税」を解説していきます。
不動産取得税とは、土地や建物を取得した人に課せられる都道府県税です。
土地・建物の売買、交換、贈与、増改築などにより、土地・建物を取得すると支払い義務が発生します。
一方で、相続や遺贈、法人の合併により土地・建物を取得した場合は、不動産取得税は発生しません。
「贈与は課税、相続・遺贈は非課税」という点は、FP2級試験で問われることがあるので押さえておきましょう。
不動産取得税の税率
不動産取得税は次のように計算されます。
不動産取得税額 = 固定資産税評価額 × 税率
不動産取得税額は、固定資産税評価額を基準に決まります。
このような税額算出の基準のことを課税標準と言います。
固定資産税評価額は、市町村が3年ごとに決定する土地や建物の評価額でした。
忘れてしまったという人は「不動産の評価」で復習しておきましょう。
次に税率ですが、不動産取得税の税率は原則として4%です。
ただし、土地または住宅用建物を取得する場合は、特例として3%に軽減されます。
- 原則:4%
- 土地または住宅用建物:3%
例えば、固定資産税評価額2,000万円の住宅用建物を取得した場合は、2,000万円×3%=60万円の不動産取得税が発生することになります。
不動産取得税の特例
次に不動産取得税の特例を押さえておきましょう。
床面積が50㎡以上240㎡以下の新築住宅を取得した場合、固定資産税評価額から最高1,200万円控除できる
つまり、固定資産税評価額2,000万円の新築建物を取得した場合、特例により、不動産取得税は(2,000万円−1,200万円)×3%=24万円になります。
通常は60万円(2,000万円×3%)かかるわけですから、特例を使わない手はないですね。
なお、中古住宅の場合でも、築年数に応じて100万円〜1,200万円の控除を受けることができます。
ただし、中古住宅の場合は建築後20年以内(耐火建築物は25年以内)または新耐震基準に適合しているなど、特例を受けるための条件があるので注意が必要です。
登録免許税
登録免許税とは
土地や建物を取得すると通常、第三者に対抗するために法務局で登記を行います。
このように不動産の登記を行う時に課せられるのが「登録免許税」です。
登録免許税は国税の1つで、次のような登記を行う場合に発生します。
- 所有権移転登記
- 所有権保存登記
- 抵当権設定登記
注意しなければならないのは、相続や遺贈、法人の合併の場合でも、登録免許税は発生するということです。
この点は、不動産取得税とは異なるので混同しないようにしましょう。
- 相続・遺贈、法人の合併により取得した場合
→不動産取得税はかからないが、登録免許税はかかる - 贈与により取得した場合
→不動産取得税も登録免許税もかかる
登録免許税の税率
登録免許税は次のように計算されます。
不動産取得税額 = 固定資産税評価額(※) × 税率
(※)抵当権設定登記の場合は、債権金額になります。
不動産取得税と同じく、固定資産税評価額が課税標準になります。
ただし、抵当権設定登記の場合は、債権金額が課税標準になるので注意しましょう。
例えば、3,000万円の住宅ローンに対する抵当権を設定する場合、債権金額は3,000万円なので、3,000万円×税率が不動産取得税の金額になるわけです。
税率は登記の内容に応じて変わってきます。
要するに、所有権保存登記なのか、所有権移転登記なのか、あるいは抵当権設定登記なのかによって、税率が異なるということです。
また、登記の対象が土地なのか建物なのかによっても税率が異なってきます。
登録免許税の税率は、以下の表の通りです。
本則 | 土地 | 一定の住宅用家屋 | |
所有権保存登記 | 0.4% | – | 0.15% |
所有権移転登記 | 2.0% | 1.5% | 0.3% |
抵当権設定登記 | 0.4% | – | 0.1% |
本則の税率が原則ですが、土地や一定の住宅用家屋を登記する場合は、軽減税率が適用されます。
一定の住宅用家屋とは、自己居住用の50㎡以上の家屋のことで、軽減税率を受けるためには、取得後1年以内に登記をする必要があります。
他にも、新築の認定長期優良住宅や低炭素住宅に該当する住宅を登記する場合には、さらに税率が軽減されます。
頭の片隅に入れておきましょう。
その他の税金
印紙税
印紙税とは、契約書や領収書などの課税文書に対して課せられる国税です。
不動産の取引では、不動産売買契約書や土地の賃貸借契約書などが対象になります。
これらの契約書に必要な金額分の収入印紙を貼付することで納税します。
契約書の契約金額が大きいほど、課せられる印紙税の額も大きくなります。
FP2級試験対策として押さえておきたいのは、「過怠税(かたいぜい)」の取り扱いです。
- 印紙に消印を行わなかった場合、その印紙と同額の過怠税が課せられる
- 印紙を貼付しなかった場合、本来必要な印紙税の2倍の過怠税が課せられる(本来の印紙税と合わせて3倍の支払いが必要になる)
消費税
不動産の取引では、消費税が発生するケースと発生しないケースがあります。
次の原則を押さえておきましょう。
- 土地の売買は非課税
- 建物の売買は課税
- 住宅の賃貸収入は非課税