【FP2級】都市計画法〜都市計画区域と開発許可
今回のテーマは都市計画法です。市街化区域と市街化調整区域の違いや開発許可制度を中心に学習していきましょう。
- 都市計画区域(市街化区域/市街化調整区域)を理解する
- 開発許可が不要になるケースを理解する
試験前の追い込みには“直前対策note”がおすすめだぞ
都市計画と都市計画法
都市計画とは
都市計画とは、都市の将来あるべき姿を目指して必要な規制などを行い、都市を適正に発展させるための計画を指します。
要するに、まちづくり計画のことです。
みんなが自由に開発して建物を建てると滅茶苦茶な都市ができてしまうかもしれません。
それを避けるために、あらかじめまちづくりの計画を決めておくわけです。
そのためのルールを定めた法律が「都市計画法」となります。
国土の分類
日本の国土は、都市計画法により次の3つに分けられます。
- 都市計画区域(市街化区域/市街化調整区域/非線引き区域)
- 準都市計画区域
- 両区域外
都市計画区域は、一体の都市として総合的に整備・開発・保全する必要がある区域を指し、市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域で構成されます。
準都市計画区域は、ある程度の開発が見込まれるため、都市計画区域ほどではないものの規制が必要な区域のことです。
都市計画区域と準都市計画区域は、都道府県知事が指定します(県がまたがる場合は国土交通大臣が指定)。
なんだかよく分からんぞ
そうだと思ったので図を描いてみました。これを見れば国土の分類がイメージできると思います!
都市計画区域
FP2級試験で重要なのは、都市計画区域です。
都市計画区域は次の3つで構成されます。
- 市街化区域・・・既に市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
- 市街化調整区域・・・市街化を抑制すべき区域(原則、建物は建てない)
- 非線引き区域・・・上記以外の区域
市街化区域では必ず「用途地域」を定めなければなりません。
用途地域とは建物の用途が制限される地域のことで、全部で13種類あります。
例えば、「第1種低層住居地域」という用途地域では高さが低い住宅は建てられるけれど、高層マンションや工場は建てられないといった制限があるわけです。
用途地域の詳細は次回の「建築基準法」で解説します!
一方、市街化調整区域は市街化を抑制する地域であり、基本的に建物は建てられません。
このため市街化調整区域では用途地域は定めなくてよいことになっています。
この違いはおさえておきましょう。
- 市街化区域は必ず用途地域を定める
- 市街化調整区域は原則として用途地域を定めない
開発行為と開発許可制度
開発行為とは
開発行為とは、建築物や特定工作物(ゴルフコースやテニスコートなど)を建築するために土地の区画形質の変更を行うことです。
土地の区画形質の変更とは、土地に道路や水路などを新設したり、切土・盛土により土地の形状を変えることを指します。
単なる土地の分筆や合筆だけでは、区画形質の変更には当たりません。
開発許可制度
開発行為を行う場合、原則として事前に都道府県知事の許可が必要です。
これを「開発許可制度」と言います。
ただし、以下に該当する小規模開発の場合は許可不要となります。
対象区域 | 許可不要となる規模 |
---|---|
市街化区域 | 1,000㎡未満の開発行為 ※3大都市圏は500㎡未満 |
非線引き区域 | 3,000㎡未満の開発行為 |
準都市計画区域 | |
市街化調整区域 | 該当なし(小規模開発でも許可必要) |
また、小規模開発以外でも、例外として開発許可が不要となるケースがあります。
以下のケースを覚えておきましょう。
なんで農林漁業の自宅は許されるんだ?
市街化調整区域は農林漁業を守るために市街化を抑制する地域だけど、農林漁業に従事する人の自宅は当然に必要です。このため、農林漁業を営む人の自宅だけは開発許可なしで建てられることになっています。
ちなみに❶の土地区画整理事業とは、道路や公園などの公共施設を整備したり、宅地利用の増進を図るために土地区画形質の変更を行う事業のことです。
また、市街地再開発事業は、老朽化した木造建築物が密集した地域において、土地を集約して高層ビルを建てるなど、土地を高度に利用するために行う事業のことです。
これら事業による開発行為も許可不要となります。
過去問チャレンジ
最後に、実際の過去問を解いてみましょう!
都市計画法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とされている。
- 市街化区域内で行う開発行為は、その規模が一定面積未満であれば、都道府県知事等の許可を必要としない。
- 用途地域は、土地の計画的な利用を図るために定められるもので、住居の環境を保護するための8地域と工業の利便を増進するための3地域の合計11地域とされている。
- 市街化調整区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為は、開発許可を受ける必要はない。
(2022年1月 FP2級学科)
それでは解説していきます。
❶適切。
設問のとおりです。これに対して、市街化調整区域は市街化を抑制する区域です。セットで覚えておきましょう。
❷適切。
市街化区域での開発行為は、1,000㎡未満(三大都市圏は500㎡未満)なら許可不要です。なお、市街化調整区域はどんなに小規模な開発でも原則許可が必要となります。
❸不適切。
用途地域は全部で13種類あります。内訳は住居系8、商業系2、工業系3です。用途地域の名前が覚えられなくても、数だけはおさえておきましょう。
❹適切。
市街化調整区域では原則建物が建てられませんが、農林漁業を営む人の自宅は例外的に開発許可なしで建てることができます。
以上により、正解は❸です。
都市計画法まとめ
最後にFP2級試験対策として都市計画法のまとめです。
- 市街化区域は、既成の市街地または今後10年間で市街化を図る区域
- 市街化調整区域は、市街化を抑制する区域
- 小規模開発に該当すれば開発許可不要
【市街化区域】1,000㎡未満(三大都市圏は500㎡未満)
【非線引き区域、準都市計画区域】3,000㎡未満 - 都市計画事業・土地区画整理事業・市街地再開発事業 ➡︎ 開発許可不要
- 市街化調整区域で農林漁業を営む人の自宅を建築 ➡︎ 開発許可不要
都市計画法の学習はここまでです。次回から建築基準法の学習に入っていきます!
試験前の追い込みには“直前対策note”がおすすめだぞ