【FP2級】公的介護保険〜介護保険の仕組みと介護保険料・自己負担割合
今回のテーマは公的介護保険です。被保険者の区分や認定申請の手続きをおさえておきましょう!
- 第1号と第2号被保険者の違いを理解する
- 介護保険の保険料と自己負担割合を理解する
試験前の追い込みには“直前対策note”がおすすめだぞ
公的介護保険とは
高齢化や核家族化が進む中で、介護を社会全体で支える仕組みとして2000年に公的介護保険がスタートしました。
介護保険料や公費をもとに、介護が必要になった人に給付や支援を行います。
ここでいう”介護が必要になった人”というのは、事前に市町村から認定を受けた人を指します。
認定の種類には、要支援(2段階)と要介護(5段階)があります。
要支援1→2→要介護1→2→3→4→5の順に症状が重くなります。
- 要支援:将来的に要介護になる可能性が高く、今のうちから支援が必要な状態
- 要介護:自分一人で日常生活を送ることが難しく、既に介護が必要な状態
介護サービスにはいくつか種類がありますが、例えばホームヘルパーが自宅に訪問して排泄や入浴といった身体介護を行う訪問介護サービスがあります。
重要なのは、特別養護老人ホームに入所するには、要介護3以上の認定が必要だということです。この点はFP2級試験対策として必ず押さえておきましょう。
第1号被保険者と第2号被保険者
被保険者の区分
介護保険では40歳以上が被保険者になり、介護保険料の支払いが発生します。
被保険者は年齢に応じて以下の2つに区分されます。
- 第1号被保険者:65歳以上
- 第2号被保険者:40歳以上65歳未満
第1号被保険者は、要介護・要支援になった原因を問わず、介護保険の給付対象となります。
これに対して第2号被保険者は、特定疾病により要介護・要支援となった場合にのみ、介護保険の給付を受けることができます。
この点はしっかり整理しておきましょう。
特定疾病ってなんだ?
加齢に起因する疾病のことです。具体的には末期がん、関節リウマチ、脳血管疾病など16種類の疾病を指します。
介護保険の給付
ケアプランの作成
介護認定を受けた人は、「ケアプラン」(介護サービス計画書)を作成し、そのケアプランに沿った介護サービスを受けることができます。
ケアプランに関しては、次のポイントをおさえておきましょう。
- ケアプランの作成費用は無料(自己負担ゼロ)
- ケアプランは一般的にケアマネージャーが作成するが、自ら作成してもOK
介護給付
介護保険の給付には、要介護者に対する“介護給付”と要支援者に対する“予防給付”があります。
このうち”介護給付”の対象となる介護サービスは次の3種類です。
- 居宅サービス:ホームヘルパーが自宅を訪問して行うサービス
- 施設サービス:特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで提供するサービス
- 地域密着型サービス:各市町村が指定した事業者が行うサービス(夜間対応型訪問介護など)
介護保険料
介護保険料の金額や納付方法も、第1号被保険者と第2号被保険者では異なります。
まず、第1号被保険者の場合、市区町村ごとにその人の所得に応じて保険料を徴収します。即ち、市区町村ごとに保険料は異なり、全国一律ではないことに注意しましょう。
保険料は、原則として公的年金から天引き(特別徴収)されます。
ただし、公的年金の受け取り金額が年間18万円未満の人は、口座振替や納付書による徴収(普通徴収)となります。
18万円を基準に特別徴収と普通徴収に分かれるのは後期高齢者医療制度と同じです。忘れてしまった人は復習しておきましょう。
第2号被保険者の保険料率は、協会けんぽは全国一律、組合けんぽは組合ごとに異なります。
介護保険料は、公的医療保険(健康保険や国民健康保険)の保険料と合わせて徴収されます。
これらをまとめると次の表のようになります。
保険料率 | 納付方法 | |
---|---|---|
第1号 | ・市区町村ごとに異なる | ・公的年金から天引き ➡︎ただし、公的年金が18万円未満の者は納付書または口座振替で徴収 |
第2号 | ・協会けんぽは全国一律 ・組合けんぽは組合ごとに異なる | ・公的医療保険と合わせて徴収 |
自己負担割合
介護サービスを受けた場合の自己負担割合は原則1割です。
医療保険の3割負担に比べると、ずいぶん太っ腹だな
ただし、第1号被保険者の場合、年金収入などの所得金額が多いと自己負担割合は2割または3割に上がります。
第2号被保険者は所得に関係なく自己負担割合は1割で固定です。
注意すべきなのは、介護施設での食事代や居住費用は全額自己負担になるということです。
また、同一月の利用者負担額が一定の上限金額を超えた場合、超えた分が高額介護サービス費として支給されます。
過去問チャレンジ
最後にFP2級試験対策として実際の過去問を見てみましょう。
公的介護保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 第1号被保険者の介護保険料は、当該被保険者が公的年金制度から年額18万円以上の老齢等年金給付を受給している場合、原則として公的年金から徴収される。
- 第2号被保険者の介護保険料は、その者が加入している公的医療保険の保険料と合わせて徴収される。
- 訪問介護や入所介護等の介護サービスの費用における利用者の負担割合は、一律1割である。
- 同一月内の介護サービス利用者負担額が一定の上限額を超えた場合は、所定の手続きにより、その上限を超えた額が高額介護サービス費として支給される。
(2018年5月 FP2級学科)
❶適切。
設問のとおりです。公的年金が18万円以上の場合、保険料は公的年金から天引き(特別徴収)となります。一方、公的年金が18万円未満の者は納付書または口座振替で徴収(普通徴収)となります。これは後期高齢者医療制度でも同様です。
❷適切。
設問のとおりです。第2号被保険者とは40歳以上65歳未満の被保険者のことです。介護保険料は公的医療保険と合わせて徴収されます。
❸不適切。
介護保険の第1号被保険者の自己負担額は原則1割ですが、所得が多い人は2割または3割の負担となります。設問では”一律”1割としているので誤りです。ただし、第2号被保険者の自己負担割合は”一律”1割となります。この違いはしっかり整理しておきましょう。
❹適切。
設問のとおりです。同一月の利用者負担額が一定の上限金額を超えた場合、超えた分が高額介護サービス費として支給されます。
以上により、正解は❸となります。
この過去問の選択肢にはありませんが、”特別養護老人ホームに入所するには要介護3以上の認定が必要”であることはFP2級試験で頻出です。ぜひ覚えておきましょう。
公的介護保険の解説は以上です。次回からは労働保険!まずは労働者災害補償保険(労災保険)を解説していきます。
試験前の追い込みには“直前対策note”がおすすめだぞ