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【FP2級】区分所有法〜管理組合と規約/集会と決議

yagihashi
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ヤギハシ先生
ヤギハシ先生

今回のテーマは区分所有法です。マンションやアパートなど区分所有建物のルールを学習していきます。

今回の目標
  • 占有部分・共用部分・敷地利用権を理解する
  • 集会のルールと決議に必要な条件を理解する
カピバラくん
カピバラくん

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区分所有法とは

マンションやアパートなど複数の住居や店舗で構成される建物を「区分所有建物」といいます。

区分所有建物にはたくさんの人が住んでいるため、建物の使用方法や管理方法など、お互いにルールを守る必要があります。

これらのルールを定めた法律が「区分所有法」です。

専有部分と共用部分

区分所有建物には、専有部分共用部分があります。

専有部分は、たとえば302号室のように、各区分所有者が独立して所有する部分のことです。

これに対して共用部分は、エレベーターや廊下など、みんなで使う部分のことです。

共用部分は「法定共用部分」と「規約共用部分」に分かれます。

  • 法定共用部分・・・区分所有法で共用部分と定められた場所【階段、廊下、エレベーター、バルコニーなど】
  • 規約共用部分・・・管理規約で共用部分と定められた場所【管理人室、集会室など】

共用部分の持分は原則、各区分所有者の専有部分の床面積の割合によります。

購入価格は関係ありません。あくまで床面積で決まります。

ただし、これはあくまで原則なので規約で別段の定めをすることもできます。

共有部分の持分
  • 原則、占有部分の床面積の割合による
  • ただし、規約で別段の定めをすることも可能

規約共用部分は、規約共用部分であることを登記しなければ第三者に対抗できません。

規約はあくまで内部ルールであり、第三者に対抗したければ登記が必要だということです。

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敷地利用権

敷地利用権とは、区分所有者が建物の敷地を利用する権利のことです。

各区分所有者の敷地利用権の持分は、占有部分の床面積の割合によって決まります。

重要なのは、敷地利用権は占有部分と切り離して処分できないということです。

要するに、マンションの部屋は売らずに敷地利用権だけを売ることはできません。

この点はFP2級試験で頻出なので、しっかり覚えておきましょう。

敷地利用権は占有部分と切り離して処分できない

管理組合と管理規約

マンションなどの区分所有建物には、必ず管理組合があります。

管理組合とは建物や敷地の管理を行うための組織で、全区分所有者で構成されます。

区分所有者は必ず管理組合に加入しなければならず、脱退することもできません。

そして、建物や敷地の利用方法などを定めたものを「管理規約(規約)」といいます。

住人みんなが快適な暮らしをおくるためのルールブックのようなものですね。

規約で定められたルールは占有者(賃借人)にも及びます。

ただし、占有者に効力が及ぶのは建物や敷地の使用方法に関するルールだけです。

管理費や修繕積立金などのルールは占有者には及びません。

参考

マンションの管理組合では、共用部分を維持するための費用として、区分所有者から管理費を徴収します。中古マンションでは、以前の住人が管理費を滞納していると、新たに購入した人に滞納していた管理費が請求されてトラブルに発展するケースがあります。中古マンションを購入する際は、管理費の滞納がないかしっかりチェックするようにしましょう。管理費の滞納状況は管理組合に確認することができます。

集会と決議

区分所有建物は複数の人が居住する建物ですから、何か決めごとをするにはみんなの意見を聞く必要があります。

具体的には、管理組合が集会を招集し、区分所有者の決議によって決めごとをします。

集会に関するルールとして、次の点をおさえておきましょう。

集会の基本ルール
  • 少なくとも年1回以上は集会を招集しなければなならない
  • 集会の招集通知は1週間以上前に発出しなければならない
  • 集会の決議は、後に区分所有権を譲り受けた者にも効力を発揮する

普通決議

集会の決議には、決議事項の重要度に応じて「普通決議」と「特別決議」があります。

まず「普通決議」で決められるのは、主に以下のような事項です。

  • 年間収支報告の承認
  • 管理組合の理事の選任
  • 共用部分の変更(形状や効用に著しい変化を伴わないもの)

普通決議は、集会で過半数の賛成が得られれば承認されます。

ここでいう「過半数」とは、区分所有者の頭数と専有部分の床面積の保有割合の両方が過半数である必要があります。

ヤギハシ先生
ヤギハシ先生

頭数だけ過半数を超えれば承認できるよう、規約でルール変更している管理組合も多いです。

特別決議

FP2級試験で頻出なのは「特別決議」です。

特別決議の場合は、決議内容に応じて必要な議決権が変わります。

下の表で整理しておきましょう。

決議内容必要な議決権
・規約の設定、変更、廃止
・管理組合の設立、解散
共用部分の変更(著しい変更を伴う場合)
・大規模滅失時の建物の
3/4以上の賛成
建替え4/5以上の賛成
カピバラくん
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建替えだけ4/5なのか

「建替え=4/5」は超重要です。必ず覚えておいてください。

共用部分の変更は、その程度に応じて普通決議と特別決議があるため注意しましょう。

  • 共用部分の変更(著しい変更なし)➡︎ 普通決議(過半数)
  • 共用部分の変更(著しい変更あり)➡︎ 特別決議(3/4)

また、規約の設定・変更・廃止は、特別の影響を受ける区分所有者の承諾が必要です。

たとえば「101号室の目の前をゴミ捨て場にする」というルールをつくるときは、101号室の所有者(特別の影響を受ける区分所有者)の承諾が必要ということです。

過去問チャレンジ

それでは区分所有法に関する実際の過去問を見てみましょう。

建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 管理者は、少なくとも毎年1回、集会を招集しなければならない。
  2. 集会の招集の通知は、原則として、開催日の少なくとも1ヵ月前までに、会議の目的たる事項を示して各区分所有者に発しなければならない。
  3. 形状または効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更を行うためには、原則として、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議が必要である。
  4. 集会の決議は、原則として、当該決議後に区分所有権を譲り受けた者に対して、その効力を有しない。

(2022年5月 FP2級学科)

それでは解説していきます。

❶適切。
設問のとおりです。管理者(管理組合)は、少なくとも年1回は集会を招集しなければなりません。

❷不適切。
集会の招集通知は開催日の1週間以上前に発出しなければなりません。設問は1か月前となっているので誤りです。

❸不適切。
形状または効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更は、過半数の賛成(普通決議)で決定できます。設問は4分の3以上となっているので誤りです。なお、著しい変更を伴う共用部分の変更には、4分の3以上の賛成(特別決議)が必要となります。細かいようですが、ひっかけ問題として頻出なので注意しましょう。

❹不適切。
集会の決議は後に区分所有権を譲り受けた者にも効力を発揮します。設問は効力を有しないとしているので誤りです。郷に入れば郷に従えということですね。

以上により、正解は❶となります。

区分所有法まとめ

最後にFP2級試験対策として、今回の学習内容のまとめです。

区分所有法まとめ
  • 共有部分と敷地利用権の持分は、占有面積の割合による
  • 規約共用部分は登記により第三者に対抗できる
  • 区分所有者は必ず管理組合に入らなければならない
  • 集会は1週間以上前に招集し、年1回以上は開催する
  • 共用部分の著しい変更には3/4以上の賛成が必要(変更が軽微なら過半数の賛成でOK)
  • 建替えの決議には4/5以上の賛成が必要
ヤギハシ先生
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区分所有法の学習はここまでです。特別決議に必要な議決権はしっかりおさえておきましょう!次回のテーマは「都市計画法」です。

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