【FP2級】教育資金とクレジットカード〜国の教育ローンと奨学金
今回は教育資金とクレジットカードがテーマです。特に国の教育ローンと日本学生支援機構の奨学金をおさえておきましょう。
- 国の教育ローン(教育一般貸付)を理解する
- 日本学生支援機構の奨学金制度を理解する
- カードローンの仕組みを理解する
試験前の追い込みには“直前対策note”がおすすめだぞ
国の教育ローン
教育資金と教育ローン
子どもにかかる教育資金は小学校から大学まで、ずっと公立でも1,000万円くらい、私立だと2,000万円くらいかかると言われています(医学部はそれ以上!)。
特に子どもが大学に進学するとなると、入学時にはまとまった資金が必要になることに加え、仕送りや下宿費用がかかることから、早めに資金を準備しておく必要があります。
大学入学への備えとして、例えば“学資保険”を利用する方法があります。
とはいえ、教育資金の全てを自己資金や学資保険だけでまかなうのは大変な話です。
そこで頼れるのが教育ローンです。
教育ローンには、民間金融機関の独自の商品と国の教育ローンがあります。
FPの試験で出題されるのは、国の教育ローンの方です。
国の教育ローン(教育一般貸付)のポイント
国の教育ローンは正式には“教育一般貸付”と言います。特徴は以下の通りです。
オレあんまり頭よくないけど貸してもらえるかな?
教育ローンの審査に学力は関係ないから大丈夫!ちなみに”教育一般貸付”はこれから解説する日本学生支援機構の奨学金と併用もできます。
奨学金制度
日本学生支援機構の奨学金制度
教育資金の手当てとして、日本学生支援機構の奨学金制度を活用する手もあります。
教育ローンは契約者の親が返済するのに対して、奨学金制度は基本的に学生が卒業後に返済することになります(返済自体が不要な奨学金もあります)。
奨学金は誰でも利用できるわけではなく、親の年収や子の学力による選考が行われます。
親の年収が多かったり、高校の成績が基準に満たない場合は、奨学金制度を利用できないこともあるので注意が必要です。
奨学金の種類
日本学生支援機構の奨学金として、次の3種類をおさえておきましょう。
奨学金は返済が必要な貸与型と、返済が不要な給付型に分かれます。
貸与型の奨学金では卒業後に学生本人が返済することになります。
この貸与型には”第一種奨学金”と”第二種奨学金”があり、その違いは利子の有無です。
第一種は無利子、第二種は有利子となります。
返済方法は元利均等返済です。
第一種奨学金の返済方法には、定額返還方式(毎月一定金額を返済)と所得連動返還方式(前年の所得に応じて返済額が変動)があります。
こんなの無利子の第一種の方がいいに決まってるじゃないか
もちろんそうなんだけど、第一種の方が審査基準が厳しいんだ。ちなみに要件を満たせば、第一種と第二種を併用することもできます。
給付型は無利子であるうえに元金の返済も不要です。
こちらは、住民税非課税世帯など経済的に困窮してた家庭であることに加え、学生自身の成績も考慮されます。
それぞれの違いをしっかり整理しておきましょう。
過去問チャレンジ
FP2級試験対策として、実際の過去問を見てみましょう。
奨学金および教育ローンに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 日本学生支援機構の貸与奨学金には、無利息の第一種奨学金と利息付き(在学中は無利息)の第二種奨学金がある。
- 日本学生支援機構の貸与奨学金のうち、第一種奨学金の返還方式には、貸与総額に応じて月々の返還額が算出され、返還完了まで定額で返還する「定額返還方式」と、前年の所得に応じてその年の毎月の返還額が決まり、返還期間が変動する「所得連動返還方式」がある。
- 日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)は、学生の保護者が申込人になる場合、教育資金融資保証基金の保証制度を利用することが義務付けられている。
- 日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)の資金使途には、入学金・授業料等の学校納付金や教材費だけではなく、自宅外から通学する学生の住居費用や通学費用も含まれる。
(2022年1月 FP2級学科)
それでは解説していきます。
❶適切。
設問のとおりです。第一種奨学金は無利子ですが、審査も厳しいのが特徴です。
❷適切。
設問のとおりです。第一種奨学金の返済方法には”定額返還方式”と”所得連動返還方式”があります。かなり細かい点ですが、余裕があれば覚えておきましょう。
❸不適切。
4親等以内の親族(別生計である者)を連帯保証人とするか、教育資金融資保証基金の保証制度を利用するかは選択できます。従って、教育資金融資保証基金の保証制度の利用は義務ではありません。この選択肢もやや難解でした。
❹適切。
設問のとおりです。国の教育ローンの資金使途は幅広く、住居費用や通学費用に加え、教科書代やパソコン代、国民年金保険料の支払いにも使うことができます。
以上により、正解は❸となります。
難解な過去問なので、消去法で❶と❹が消せたなら上出来です!
クレジットカード
クレジットカードの審査
クレジットカードとは現金を使わない後払い決済手段の1つです。
利用するにはカード会社の審査が必要です。
カード会社は“指定信用情報機関”の登録情報などをもとに審査を実施します。
指定信用情報機関ってなんだ?
カード会社や銀行から提供された信用情報を管理する機関のことです。指定信用情報機関に延滞などのネガティブな信用情報が記録されていると、基本的に審査に通過することはできません。
指定信用情報機関に対して、自分自身の信用情報を開示請求することもできます。
ショッピング機能とキャッシング機能
無事に審査を通過すれば、カード会社からカードが郵送されます。
ただし、クレジットカードは本人以外の利用は禁止されており、家族への貸与もNGです。
クレジットカードには、ショッピング機能とキャッシング機能があります。
- ショッピング機能:後払いで買い物をする機能 ➡︎ 総量規制の対象外
- キャッシング機能:現金を借りる機能 ➡︎ 総量規制の対象
このうちキャッシング機能は総量規制の対象になります。
総量規制とは、貸金業者が個人に貸付できる金額を年収の1/3に制限する規制です。
多重債務による個人破産を抑制するために貸金業法で定めらたルールであり、例えば年収300万円の人には100万円を超えるキャッシング限度額を設定することはできません。
総量規制の計算には、他のカード会社や消費者金融からの借入も含めます。ただし、銀行のカードローンや住宅ローン、事業資金の借入は総量規制の計算には含めません。
少しややこしいですが、余裕があれば覚えておきましょう。
クレジットカード代金の支払い方法
ショッピング機能を利用する場合、マンスリークリア(翌月一括払い)、分割払い、リボルビング払いから支払い方法を選択します。
FP2級試験対策として押さえておきたいのは、分割払いとリボルビング払いの違いです。
- 分割払い:カード利用時に返済回数を選択して支払う方法
- リボルビング払い:事前に設定した一定金額を毎月支払う方法
クレジットカードで30万円のテレビを買ったケースを考えてみましょう。
5回の分割払いを選択したとき、6万円ずつ5か月間支払いすることになります。一方、毎月2万円のリボルビング払いを選択すると、2万円ずつ15か月かけて支払いすることになるわけです。
リボルビング払いは毎月の支払いは安定しますが、一般的に支払い期間が長くなるため、利息の支払い総額も大きくなる点がデメリットといえます。
分割払いは2回までの分割は手数料無料。3回以上の分割にすると手数料が発生します。
過去問チャレンジ
FP2級試験対策として、クレジットカードに関する過去問を見てみましょう。
クレジットカード会社(貸金業者)が発行するクレジットカードの一般的な利用に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- クレジットカード会員規約では、クレジットカードは他人へ貸与することが禁止されており、クレジットカード会員が生計を維持している親族に対しても貸与することはできない。
- クレジットカードで無担保借入(キャッシング)をする行為は、貸金業法上、総量規制の対象となるが、クレジットカードで商品を購入(ショッピング)する行為は、総量規制の対象とならない。
- クレジットカードで商品を購入(ショッピング)した場合の返済方法の一つである定額リボルビング払い方式は、カード利用時に代金の支払回数を決め、利用代金をその回数で分割して支払う方法である。
- クレジットカード会員は、クレジットカード会社が加盟する指定信用情報機関により管理されている自己の信用情報について、所定の手続きにより開示請求することができる。
(2021年9月 FP2級学科)
それでは解説します。
❶適切。
設問のとおりです。クレジットカードを利用できるのは本人のみです。たとえ親族でも貸与してはなりません。
❷適切。
設問のとおりです。キャッシング利用は総量規制の対象ですが、ショッピング利用は総量規制の対象外です。この違いはしっかり理解しておきましょう。
❸不適切。
“リボルビング払い”では、事前に設定した一定金額を毎月支払います。カード利用時に支払い回数を決めるのは”分割払い”です。
❹適切。
設問のとおりです。指定信用情報機関とは、貸金業者が融資先である個人の信用情報(融資金額や延滞歴など)を登録する機関です。貸金業者は貸出の審査をする際に、指定信用情報機関に登録された信用情報を参考にします(例えば他の貸金業者から借り過ぎていないか、延滞がないか等)。自己の信用情報は所定の手続きにより開示請求することができます。
以上により、正解は❸となります。
今回の講義は以上です。教育資金は“教育資金の一括贈与制度”も合わせて学習すると効果的です。次回は”健康保険と任意継続被保険者制度”を解説します。
試験前の追い込みには“直前対策note”がおすすめだぞ