*このページは2020年4月19日に更新しました。
- FPの6つの職業倫理を理解する
- FPの関連法規を理解する
FPの職業倫理
6つの職業倫理
FPが顧客の信頼を得ながら業務を行うには、高い職業倫理が求められます。
FPに求められるの職業倫理として、次の6つをおさえておきましょう。
- 顧客利益の優先
- 守秘義務の遵守
- 顧客に対する説明義務(アカウンタビリティ)
- 法令の遵守(コンプライアンスの徹底)
- インフォームド・コンセント
- 能力の啓発
「インフォームド・コンセント」だけ聞きなれないかもしれませんが、それ以外はなんとなく意味が分かると思います。順番に見ていきましょう。
顧客利益の優先
FPは自分や勤務先の利益を優先せず、顧客の利益を優先する姿勢が求められます。
これは何もFPだけに限った話ではなく、全ての仕事に言えることですね。
ライフプランニングの主役は顧客であり、プランを実行するのはあくまでも顧客です。提案内容を無理に押し通すのではなく、十分に顧客と話し合い、顧客の意に沿わない場合は潔く撤回することも大切です。
FP2級の試験では、「FPのAさんは顧客の利益ではなく、自身の利益を優先してプランニングをしている」なんて選択肢が登場しますが、答えはもちろん×です。
2017年には金融庁が「顧客本位の業務運営の原則」を公表しました。
これは、監督官庁である金融庁が金融機関(銀行や証券会社など)に対して「手数料稼ぎばっかりしてないで、ちゃんと顧客のことを考えなさい!」というメッセージを6つの原則という形で示したものです。
ちなみに「顧客本位の業務運営」は、「フィデューシャリー・デューティー」とも呼ばれます。当初は金融庁も「フィデューシャリー・デューティー」という言葉を使っていましたが、意味が伝わりづらいく、途中で表現を変えたようです。
守秘義務の遵守
FPは顧客の収入や資産、負債など様々な個人情報を預かったうえで、ライフプランニングの提案を行います。
FPの業務は顧客との信頼関係の上に成り立ちますから、顧客から得た情報を外部に漏らすのはNGです。個人情報保護法などに抵触し、刑事罰に問われることにもなります。
なによりも顧客の信用失墜につながるので、守秘義務は必ず守らなくてはなりません。
顧客に対する説明義務(アカウンタビリティ)
FPが顧客に提案を行う際は、顧客の知識レベルや経験に合わせて十分に説明する必要があります。
特に投資信託や外貨預金などの金融商品を販売する場合は、金融商品取引法や金融商品販売法に基づく説明義務が課されます。
法律上の決まりをしっかり理解して、説明すべき重要事項が漏れないよう、留意する必要があります。
法令の遵守(コンプライアンスの徹底)
FPは関係する様々な法令を遵守して業務を行わなければなりません。
FP業務に関連する法令には、金融商品取引法や金融商品販売法、消費者契約法などがあります。
加えて、税理士法や弁護士法などにも抵触しないように留意しなければなりません。
インフォームド・コンセント
言葉は初めて聞くかもしれませんが、難しいことはありません。
インフォームド・コンセントとは、「十分な情報を得た上での合意」という意味で、元々は医療現場などで使われる言葉です。
FPにおけるインフォームド・コンセントは、顧客に十分納得してもらったうえでFPの提案(ライフプランニングなど)を実行してもらうことです。
FPは顧客の立場に立ってしっかり説明し、理解されているかどうかを確認しながら提案を進めていく必要があります。
能力の啓発
FPの業務は幅広く、必要とされる専門知識も広範囲にわたるため、絶えず能力の啓発に努めなければなりません。
特に法令改正や新しい金融商品など、知識のアップデートが欠かせません。
これもFPに限らず、職業全般に共通して必要なことですね。
関連法規
FPの業務は範囲が広いため、税理士法や弁護士法、保険業法など様々な関連法規に触れる可能性があります。
重要なのはこれら関連法規に抵触しないように業務を行うことです。
税理士法
関連法規で出題頻度が高いのが税理士法と弁護士法です。
まず、税理士ではない者が、「個別具体的な」税務相談や税務書類の作成などの業務を行うことは税理士法に抵触します。
これは、有償の場合はもちろん、無償でもNGです。
「個別具体的な」というところに注目しましょう。
逆に言えば、仮の事例に基づく税金の計算や、一般的な税法の解釈などの説明程度であれば、税理士ではなくてもOKということです。このあたりの違いが試験では問われます。
弁護士法
同じように、弁護士ではない者が法律相談や法律事務を行うことは弁護士法に抵触します。
ただし、一般的な遺言書の書き方を説明することは弁護士でなくてもOKです。
また、弁護士資格がなくても、成年後見制度における任意後見制度における任意後見人になることはできます。
保険業法と金融商品取引法
保険の募集を行うためには、所定の試験に合格して、内閣総理大臣の登録を受けなければなりません。募集人の登録なしで保険募集を行うことは保険業法で禁止されています。
また、内閣総理大臣の登録を受けていない者が具体的な有価証券投資の助言を行うことや、投資一任契約を受けて投資運用を行うことは金融商品取引法で禁止されています。
ただし、経済動向や個別企業の業績、有価証券の価値などについて、一般に入手可能な新聞や雑誌などの情報をもとに説明することはOKで、金融商品取引法には抵触しません。
個人情報保護法
個人情報を本人の承諾なしに第三者に提供することは、原則として個人情報保護法で禁止されています。
6つの職業倫理の中に「守秘義務の遵守」がありましたが、それとも関係する話です。