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【FP2級】直系尊属からの住宅取得等資金の贈与の非課税

yagihashi
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ヤギハシ先生
ヤギハシ先生

前回に続き、贈与税の特例を学習していきます。今回のテーマは「直系尊属からの住宅取得等資金の贈与の非課税」の特例です。非課税限度額と特例の利用条件は正確に理解しておきましょう。

今回の目標
  • 住宅の種類に応じた非課税限度額を理解する
  • 特例を利用するための条件を理解する
カピバラくん
カピバラくん

試験前の追い込みには“直前対策note”がおすすめだぞ

直系尊属からの住宅取得等資金の贈与の非課税とは

「住宅取得資金の贈与の非課税」とは、直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合に一定金額まで贈与税が非課税になる制度です。

直系尊属とは父母や祖父母のことです。

要するに、父母や祖父母からの住宅取得資金の贈与は、通常の贈与よりも税制上優遇されるということです。

ただし、本制度はあくまで住宅取得資金の贈与が対象であり、住宅そのものの贈与は対象外となります。

この点は「贈与税の配偶者控除」とは異なるので、注意が必要です。

住宅取得資金の贈与住宅そのものの贈与
住宅取得資金の贈与の非課税対象対象外
贈与税の配偶者控除対象対象
しばいぬくん
しばいぬくん

贈与税の配偶者控除との違いはしっかり押さえておこう!

一方、住宅を建てるための土地を先行取得する資金は非課税の対象となります。

少し混乱してきたと思うので、整理しておきましょう。

  • 土地の先行取得資金・・・対象
  • 住宅の取得資金・・・対象
  • 住宅そのもの・・・対象外

非課税限度額

ここでは「住宅取得等資金の贈与の非課税」を利用すると、いくらまでが非課税になるのか学習します。

超重要なので、必ず覚えておきましょう。

非課税限度額
  • 耐震・省エネ等住宅:1,000万円
  • 一般住宅:500万円

耐震・省エネ等住宅に該当すれば非課税限度額が大きくなります。

耐震・省エネ等住宅とは、断熱性能などの省エネ基準や一定の耐震性能を満たしている住宅を指します。地球温暖化や地震に配慮した住宅は税制上優遇されるというわけですね。

たとえば、直系尊属から1,500万円の贈与を受けて省エネ等住宅を購入した場合、1,000万円まで贈与税が非課税、残りの500万円に贈与税が課せられるということです。

カピバラくん
カピバラくん

省エネ住宅の方がお得ってことだな

ところで、「住宅取得資金の贈与の非課税」は暦年課税の基礎控除(110万円)や、相続時精算課税制度(2,500万円)と併用することができます。

暦年課税の基礎控除(110万円)と併用できるのは、贈与税の配偶者控除と同じですね。

暦年課税の基礎控除 または 相続時精算課税制度と併用が可能!

特例を受けるための条件

「住宅取得資金の贈与の非課税」の特例を受けるには、いくつか条件があります。

受贈者の条件と取得する住宅の条件があるので、順番に見ていきましょう。

受贈者の条件

受贈者(贈与を受ける人)の条件として、次の2つを押さえておきましょう。

受贈者の条件
  1. 贈与を受ける年の1月1日時点で18歳以上であること
  2. 贈与を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること

1つ目の条件は、「1月1日時点」というのがポイントです。たとえば8月に18歳になった人が10月に贈与を受けても特例の対象にはなりません。

2点目の2,000万円も覚えておきましょう。高所得者は優遇してもらえないということです。

カピバラくん
カピバラくん

たしか確定申告も2,000万円からだったな

取得する住宅の条件

贈与を受けた住宅取得資金で購入する住宅にも条件があります。

次の2つを押さえておきましょう。

取得する住宅の条件
  1. 家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下であること
    (受贈者の合計所得金額が1,000万円以下の場合は、40㎡以上240㎡以下
  2. 中古住宅の場合、耐火建築物は建築後25年以下、それ以外は建築後20年以下

1つ目の条件ですが、要するに狭すぎたり広すぎる住宅は対象外ということです。上限240㎡という数字は暗記しておく必要があります。

2つ目の条件は少し複雑なので、余裕があれば覚えておけば良いでしょう。

過去問チャレンジ

それでは実際の過去問を解いてみましょう!

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例(以下「本特例」という) に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 受贈者の配偶者の父母(義父母)から住宅取得資金の贈与を受けた場合、本特例の適用を受けることができない。
  2. 受贈者が自己の居住の用に供する家屋とともにその敷地の用に供される土地を取得する場合において、その土地の取得の対価に充てるための金銭については、本特例の適用を受けることができない。
  3. 新築した家屋が店舗併用住宅で、その家屋の登記簿上の床面積の2分の1超に相当する部分が店舗の用に供される場合において、その家屋の新築の対価に充てるための金銭については、本特例の適用を受けることができない。
  4. 住宅取得資金の贈与者が死亡した場合において、その相続人が贈与を受けた住宅取得資金のうち、本特例の適用を受けて贈与税が非課税とされた金額については、その贈与が暦年課税または相続時精算課税制度のいずれの適用を受けていたとしても、相続税の課税価格に加算されない。

(2021年9月 FP2級学科試験)

それでは解説していきます。

❶適切。
配偶者の父母(義父母)からの贈与は特例の対象外です。

❷不適切。
先行取得する土地の購入資金も特例の対象となります。

❸適切
床面積の2分の1以上が居住専用である必要があります。設問のケースは2分の1超が店舗に使われており、特例の対象外となります。

❹適切。
設問の通り、特例を受けて取得した住宅取得資金に相続税は課されません。

以上により、正解は❷となります。

選択肢の文字数が多くて大変ですが、土地の購入資金も特例の対象だと覚えていれば、すぐに❷が正解だと分かります。

まとめ

最後に、FP2級試験の頻出項目を中心にまとめです。

住宅取得資金の贈与の非課税まとめ
  • 住宅そのものの贈与は対象外
  • 非課税枠は省エネ等住宅1,000万円、一般住宅は500万円
  • 受贈者は1月1日時点で18歳以上かつ合計所得金額2,000万円以下
  • 家屋の床面積は240㎡以下
ヤギハシ先生
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今回の学習はここまでです。次回は贈与税の特例のラスト!教育資金と結婚・子育て資金の一括贈与の特例を学習します。

カピバラくん
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ヤギハシ先生
1級FP技能士/金融機関/ブロガー
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