相続・事業承継

【FP2級】贈与税の配偶者控除(2,000万円控除の特例)

*このページは2020年7月29日に更新しました。

ヤギハシ先生
ヤギハシ先生
今回は「贈与税の配偶者控除」を学習します。適用条件を押さえて、簡単な計算問題も解けるようにしておこう!
今回の目標
  1. 「贈与税の配偶者控除」の仕組みを理解する
  2. 特例を受けるための条件を理解する
  3. 簡単な計算問題を解けるようにする

贈与税の配偶者控除とは

通常、「居住用財産(土地や家のこと)」の贈与を受けると贈与税が発生しますよね。

例えば、課税価格5,000万円の不動産の贈与を受けた場合、「(課税価格5,000万円ー基礎控除110万円)×贈与税率」分の贈与税が発生するわけです。

これに対して、配偶者から居住用財産や居住用財産を取得するための資金の贈与を受けた場合は、居住用財産の課税価格から2,000万円を控除できる制度があります。

これが贈与税の配偶者控除」の特例です。

贈与税の基礎控除110万円と併用できるというのもポイントです。

カピバラ君
カピバラ君
ふうん、じゃあ合計で2,110万円控除できるってこと?

ヤギハシ先生
ヤギハシ先生
その通り!さっきのケースだと「(5,000万円ー2,110万円)×贈与税率」が贈与税額になるんだ!

「贈与税の配偶者控除」と基礎控除を併用することで、最大2,110万円(2,000万円+110万円)を贈与税の相続税評価額から控除することができます。

ただし、この特例は同じ配偶者間では一生に一度しか利用することができません。離婚すれば再度利用することはできますが、ケースとしては少ないでしょう。

また、あくまで「居住用不動産」が対象であり、「事業用不動産」は対象外となります。

  • 居住用財産そのものの贈与だけでなく、居住用財産を購入するための資金の贈与でもOK
  • 同じ配偶者間では一生に一度だけしか利用することができない
  • 事業用不動産の譲渡は対象外

特例を受けるための3条件

「贈与税の配偶者控除」を利用するには、次の条件を全て満たすがあります。

贈与税の配偶者控除の3条件
  1. 贈与の時点婚姻期間が20年以上であること
  2. 贈与を受けた居住用財産に翌年3月15日までに居住して、その後も居住し続ける見込みであること
  3. 贈与税の申告書を提出すること

この3条件は超重要なので必ず覚えておきましょう。

特に「婚姻期間が20年以上であること」は、FP2級試験で頻出です。「同一配偶者間では一生に一度しか適用できない」ことと合わせて、しっかり覚えておきましょう。

贈与税の申告書は、贈与税額がゼロになる場合でも提出が必要になります。例えば、贈与した住宅が2,110万円以下の場合、この特例を利用することで贈与税額はゼロになりますが、申告書の提出は必要ということです。

しば犬くん
しば犬くん
特例を利用したいなら申告書の提出は必須です!

その他のポイント

相続発生時の取扱い

通常、相続により財産を取得した者が、相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けていた場合、贈与財産の贈与時の価額が相続財産に加算されます。

このルールを「生前贈与加算」といいます。

特定の相続人だけ贈与を受けると、他の相続人の取り分が減ってしまいますよね。そんな不公平を防ぐためのルールになります。

しかし、「贈与税の配偶者控除」の適用を受けた贈与財産は、生前贈与加算の例外扱いになります。

つまり、贈与の時期が相続開始前3年以内であっても、「贈与税の配偶者控除」の適用を受けた贈与財産は、生前贈与加算の対象にはならないということです。

ヤギハシ先生
ヤギハシ先生
生前贈与加算は相続税のところで改めて解説しますね!

店舗兼住宅の取り扱い(応用編)

「贈与税の配偶者控除」は、あくまで居住用財産が対象であり、事業用不動産は対象外であることを説明しました。

では、1階が店舗で2階が住宅のような「店舗兼住宅」の場合はどうなるのでしょうか。

やや応用編ですが、店舗兼住宅の場合は次のような取扱いになります。

  1. 原則、居住用部分だけが「贈与税の配偶者控除」の対象になる
  2. ただし、総面積の90%以上が居住用の場合は、全体を居住用として取り扱ってOK
  3. 共有持分の贈与を受けた場合、居住用部分から優先的に贈与を受けたものとして取扱うことができる

❷は、例えば10階建のうち1階だけがコンビニになっているマンションを思い浮かべれば分かりやすいと思います。このマンションでは、全体の90%が居住用なので、1階のコンビニ部分も居住用として控除の対象にすることができるということです。

❸は、例えば夫が単独で保有している課税価格2,000万円の店舗兼住宅(うち居住用部分1,000万円、店舗部分1,000万円)があったとします。これを妻との共有にすると、妻は実質的に1,000万円(2,000万円÷2)の贈与を夫から受けたことになりますよね。
「居住用部分から優先的に贈与を受けたものとして取扱うことができる」というのは、上記のケースの場合、妻が贈与を受けた1,000万円は全て居住用部分の贈与だったことにしてOKですよ、という意味です。
これなら特例の恩恵を1,000万円分まるまる受けることができますね。

しば犬くん
しば犬くん
店舗兼住宅の取扱いは、余裕があれば押さえておこう!

練習問題

次の練習問題を解いてみましょう。

これはFP2級の過去問を少しアレンジした問題です。

まず、居住用財産の相続税評価額は、贈与税の配偶者控除の上限(2,000万円)を下回るため、1,800万円全額が控除できます。

さらに、贈与税の配偶者控除は暦年課税の基礎控除110万円と併用できるため、株式500万円から110万円を控除することができますね。

これらを合計すると、1,800万円+110万円=1,910万円。

したがって、正解は「2. 1,910万円」になります。

贈与税は残りの株式390万円(500万円ー110万円)に対して課せられることになります。

カピバラ君
カピバラ君
贈与税の配偶者控除が200万円余ってるが、株式に使えないのか?

ヤギハシ先生
ヤギハシ先生
残念!贈与税の配偶者控除は、あくまで居住用財産にしか使えないんだ!

まとめ

最後に「贈与税の配偶者控除」のポイントをまとめておきます。

贈与税の配偶者控除まとめ
  • 基礎控除と併用すれば、最大2,110万円まで控除が可能
  • 居住用財産または居住用財産を取得するための資金が対象(事業用は対象外)
  • 同一夫婦間では一生に一度しか利用できない
  • 婚姻期間20年以上が条件
  • 贈与税の申告書は必ず提出しなければならない
  • 生前贈与加算の対象外

ヤギハシ先生
ヤギハシ先生
今回の学習はここまでです。次回は「直系尊属からの住宅取得資金の贈与の非課税」を解説します。

>>直系尊属からの住宅取得資金の贈与の非課税