贈与の基本
そもそも贈与とは?
ひとことで言うと「誰かに無償で財産を与えること」です。
そして贈与を受けた人(「受贈者」といいます)が納めなければならない税金が「贈与税」です。
贈与は贈与契約に基いて行われますが、一方的な意思表示だけでは贈与契約は成り立ちません。
財産を与える意思表示をして、相手がこれを受諾することで初めて贈与契約は成立します(こういった契約を諾成契約と言います)。
不要な財産を無理やり押し付けるのはダメだということですね。
贈与契約は口頭でもOK!
贈与契約は、書面で契約を結んだ場合はもちろん、口頭でもOKです。
ただし、書面の契約と口頭の契約では次のような違いがあります。
- 口頭の贈与契約は、一方的に取り消しができる
(契約の履行前であることが条件。財産を渡した後ではダメ) - 書面の贈与契約を取り消すには、お互いの合意が必要
(書面であっても、夫婦間であれば一方的に取り消しができる)
贈与の種類
贈与には一般的な贈与(単純贈与)だけでなく、少し変わった種類のものがあります。
FP2級の試験対策として、次の3種類をおさえておきましょう。
定期贈与
その名の通り、定期的に行う贈与のことです。
例えば「毎年100万円ずつ10年間贈与する」といったものです。
定期贈与契約は、贈与者と受贈者のいずれか一方が死亡した時点で終了します。
つまり、毎年100万円を受け取る権利は相続人には継承されないということですね。
ここは大変重要なポイントなのでおさえておきましょう!
負担付き贈与
例えば「3,000万円の土地をあげるけど、代わりに土地の借入金2,000万円もよろしくね」というのが負担付き贈与です。
受贈者(贈与を受ける人)にも一定の負担をしてもらうよ、というものですね。
上のケースでは、土地の価値3,000万円から借入金2,000万円を差し引いた1,000万円に対して贈与税がかかることになります。
死因贈与
例えば「私が死んだらこの株式をあげよう!」というように、贈与者の死亡により効力が発生する贈与のことです。
ややこしいのは贈与と言いつつ、
贈与税ではなく、相続税の課税対象になるということです。
生前の財産の移転には「贈与税」、死亡後の財産の移転には「相続税」が課されるのが基本的な考え方なので、ここは間違いないようにしましょう。
また、似たようなものに「遺贈(いぞう)」があります。「遺贈」とは、「遺言(ゆいごん、いごん)によって、財産を相続人以外の者におくること」です。
「死因贈与」と「遺贈」は混合しがちなので、違いをしっかりとおさえておきましょう。
- 「死因贈与」は、贈与者と受贈者の間で合意が必要
- 「遺贈」は、贈与者の一方的な意思表示でOK(受贈者の合意は不要)
- どちらも相続税の課税対象