【FP2級】公的介護保険〜介護認定と給付の内容〜

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- 第1号被保険者と第2号被保険者の違いを理解する
- 介護保険の認定手続を理解する
- 介護保険の給付と自己負担割合を理解する
公的介護保険とは
高齢化社会や核家族化が進む中で、介護を社会全体で支える仕組みとして2000年に公的介護保険がスタートしました。
公的介護保険制度とは、介護保険料や公費をもとに、介護が必要になった人に対して給付や支援を行う制度です。
ここでいう「介護が必要になった人」というのは、事前に市町村から要介護や要支援の認定を受けた人を指し、これらの人たちは原則として1割の自己負担で介護サービスを受けることができます。
介護サービスにはいくつか種類がありますが、例えばホームヘルパーが自宅に訪問して排泄や入浴といった身体介護を行う訪問介護サービスなどがあります。
現在介護が必要な人の状態を「要介護」、将来的に要介護になる可能性が高く今のうちから支援が必要な状態を「要支援」といいます。
さらに「要介護」は1〜5段階、「要支援」は1〜2段階に分けられ、数字が大きいほどより重い介護が必要になります。
要支援1が最も軽く、要介護5が最も重度な状態と覚えておきましょう。。
第1号被保険者と第2号被保険者
第2号被保険者は特定疾病の場合のみ!
介護保険では40歳以上が被保険者になり、介護保険料の支払いが発生します。
被保険者は年齢に応じて2つに区分され、65歳以上の人は第1号被保険者、40歳以上65歳未満の人は第2号被保険者となります。
どちらも被保険者であることに変わりはありませんが、次の違いをおさえておきましょう。
- 第1号被保険者は、要介護・要支援の認定を受けていれば介護保険の給付対象(要介護・要支援になった理由は問わない)
- 第2号被保険者は「特定疾病」により要介護・要支援の認定を受けた場合のみ、介護保険の給付対象
介護保険料と支払い方法
保険料の金額や納付方法も、第1号被保険者と第2号被保険者では異なります。
まず、第1号被保険者の場合、地町村ごとにその人の所得に応じて保険料を徴収します。即ち、市町村ごとに保険料は異なり、全国一律ではないことに注意しましょう。
保険料は、原則として公的年金から天引き(特別徴収)されます。
ただし、公的年金の受取額が年間18万円未満の人は、口座振替による徴収(普通徴収)となります。
次に、第2号被保険者の場合ですが、保険料率は協会けんぽの場合は全国一律、組合けんぽの場合は組合ごとに異なります。
保険料は、公的医療保険(健康保険や国民健康保険)の保険料と合わせて徴収されます。
以上をまとめると次の表のようになります。
保険料率 | 納付方法 | |
第1号被保険者 |
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第2号被保険者 |
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健康保険の被保険者が40歳未満であれば、その配偶者が40歳以上で第2号被保険者に該当しても、原則として介護保険料は徴収されません(組合けんぽでは組合によって徴収するケースもあります)。
例えば、会社員の夫が38歳、専業主婦の妻が40歳の夫婦の場合、原則として介護保険料は徴収されないということです。
介護の認定手続き
65歳になると、介護保険の加入者であることを示す「介護保険被保険者証」が交付されます。しかし、介護保険のサービスは「介護保険被保険者証」を持っているだけでは受けられず、市町村から要介護または要支援の状態にあることの認定を受けなければなりません。
認定を受けるには、まず市町村の窓口に申し込みを行います。
先ほどの「介護保険被保険者証」は、この申し込みの際に提出が必要となります。
申し込みを受けた市町村では、介護認定審査会における審査などを経て、要介護や要支援の認定を行います。認定は原則として申請から30日以内に行われます。
市町村の認定結果に不服がある場合は、認定の結果を知った日の翌日から3か月以内であれば、審査請求を行うことができます。もちろん審査請求をしたからといって、必ずしも結果がくつがえるとは限りません。
また、認定は永久に有効であるわけではなく、有効期間があります。身体の状態は変化するので当然といえば当然ですよね。
この有効期間は、新規申請の場合は原則6か月、更新の場合は12か月です。
更新の申請は、有効期限が満了する60日前から満了日までに行う必要があります。
介護保険の給付
ケアプランの作成費用は無料!
介護の認定を受けた後は、ケアマネージャーに「ケアプラン」(介護サービス計画書)を作成してもらい、そのケアプランに沿った介護サービスを受けることができます。
ケアプランについては、次のポイントをおさえておきましょう。
- ケアプランの作成費用は無料(自己負担ゼロ)
- ケアプランはケアマネージャーに依頼せずに、自ら作成してもOK
介護給付は3種類
介護保険の給付には、要介護者に対する「介護給付」と要支援者に対する「予防給付」があります。
このうち「介護給付」の対象となる介護サービスは次の3種類です。
- 居宅サービス:ホームヘルパーが自宅を訪問して行うサービス
- 施設サービス:特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)や介護老人保健施設などで提供するサービス
- 地域密着型サービス:各市町村が指定した事業者が行うサービス(夜間対応型訪問介護など)
自己負担割合は原則1割
介護サービスを受けた場合の自己負担割合は原則1割です。
逆に言えば、介護サービスの料金の9割は公的介護保険から給付を受けることになります。
ただし、介護施設での食事代や居住費用は全額自己負担になるので、この点はしっかりおさえておきましょう。
第1号被保険者の場合は、年金収入などの所得金額が多いと、自己負担割合が2割または3割に上がります。
- 年金収入等が340万円以上(単身世帯の場合)…3割負担
- 年金収入等が280万円以上(単身世帯の場合)…2割負担
- 年金収入等が280万円未満…1割負担
夫婦世帯の場合は基準となる金額が変わってきますが、FP2級の試験では単身世帯の金額だけ覚えておけば十分でしょう。
公的介護保険まとめ
最後にFP2級の試験対策として、頻出ポイントをおさえておきましょう。
- 公的介護保険の第1号被保険者は65歳以上、第2号被保険者は40歳以上
- 第2号被保険者の場合、「特定疾病」により要介護・要支援の認定を受けた場合のみ、介護保険の給付対象
- 介護保険の給付を受けるためには、市町村から要介護(1〜5段階)または要支援(1〜2段階)の認定を受けなければならない
- ケアプランの作成費用は無料
- 介護サービスに対する自己負担割合は原則1割
- ただし、第1号被保険者で年金収入が多い人は、自己負担割合が2割または3割になる