*このページは2020年7月24日に更新しました。
- 住宅ローンの仕組みを理解する
- フラット35の特徴と借入条件を理解する
- 財形住宅融資の仕組みを理解する
住宅ローンとは
住宅ローンの仕組み
人生の三大資金の一つが住宅資金です。
でも住宅をキャッシュで買える人はごく少数で、多くの人は銀行などで住宅ローンを借りて長い期間で返済していくことになります。
銀行などの貸し手も商売ですから、住宅ローンでは借りたお金(元金)だけでなく、1%や2%などの金利を上乗せして返済する必要があります。
銀行などの貸し手にとっては、この金利分が収益になるわけです。
固定金利と変動金利
住宅ローンの金利には種類があります。次の3つをおさえておきましょう。
- 固定金利型…最初から最後まで金利が変わらない
- 変動金利型…市場金利に応じて半年毎に金利が見直しされる
- 固定金利選択型…最初の数年間は金利が固定され、固定金利期間の終了時に、改めて固定か変動かを選択する
一般的には、市場金利環境が同じ時期に借入した場合、固定金利の方が変動金利よりも金利は高くなります。一方で、将来的に市場金利が上がった時には、固定金利の方が有利になるケースがあります。
従って、将来の市場金利が横ばいか下がると思えば「変動金利」を、逆に将来の市場金利が上がると思えば「固定金利」を選択するのが基本です。
元利均等返済と元金均等返済の違い
住宅ローンの返済方法には、次の2種類があります。
- 元金均等返済…毎回の返済額のうち、元金の部分が一定
- 元利均等返済…毎回の返済の合計額(元金+利息)が一定
2つの違いはFP2級の試験で問われることがあるので、詳しく解説していきます。
住宅ローンに限らず、借入金の返済金は元金部分と利息部分に分けられます。
❶元金均等返済は、毎回の返済のうち、元金部分だけを一定にする返済方法です。
利息部分は元金に応じて変動します。つまり、元金が多い借入当初は毎回の返済額が多く、元金の返済が進むに連れて、毎回の返済額は少なくなっていきます。
最初の方は返済に苦労しますが、元金部分の返済がどんどん進んでいく返済方法です。
一方で❷元利均等返済は、毎回の返済額全体(元金+利息)を一定にする返済方法です。
元金が多い借入当初は返済額全体のうち、利息部分の割合が多くなりますが、返済が進むに連れて利息部分の割合が少なくなり、元金部分の返済割合が多くなっていきます。
家計が安定するので、住宅ローンでは一般的にこちらが選択されることが多いです。一方で元金部分の返済がなかなか進まないため、借入期間中の支払利息の合計は❶元金均等返済より多くなるデメリットがあります。
フラット35とは
民間住宅ローンとフラット35
住宅ローンには、メガバンクや地方銀行、ネット銀行などの独自の住宅ローン(民間住宅ローン)と、住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」などがあります。
民間住宅ローンの内容や借入条件は銀行によって様々です。
一方で、住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」は、多くの銀行で取り扱っていますが、どこで契約しても基本的に商品性は同じです(金利は金融機関ごとに異なる)。
FP2級の試験で主に出題されるのは、この「フラット35」の方です。
フラット35(買取型)とは
「フラット35」にはいくつか種類がありますが、最もメジャーなのは「フラット35(買取型)」です。
「フラット35(買取型)」では、まずメガバンクや地方銀行などの民間金融機関が顧客に住宅ローンを貸出し、そのローン債権(返済を受ける権利)を住宅金融支援機構が買取ります。今度は住宅金融支援機構が買い取ったローン債権を担保に「資産担保証券(MBS)」を発行することで、資金を調達します。
それでは「フラット35(買取型)」の特徴や借入条件など、FP2級で出題される重要ポイントを見ていきましょう。
- 建築費や購入価格が1億円以下の物件であること(新築でも中古でもOK)
- 物件の面積は床面積は戸建ては70㎡以上、マンションは30㎡以上が条件
- 融資の上限金額は8,000万円(購入価格の100%以内)
- 年収に対する返済割合は、年収400万円未満の人は30%以下、年収400万円以上の人は35%以下であることが条件
- 返済方法は元利均等返済、元金均等返済の好きな方を選択可
- 金利は長期固定金利で、融資実行時点の金利が適用(申し込み時点の金利ではないことに注意)
- 融資率(融資金額÷物件の購入価格)が90%以上だと審査が厳しくなり、金利も上乗せになる
- 融資期間は原則15年以上35年以内(60際以上の人は10年以上35年以内)
- ただし、完済時の年齢は80歳まで
- 保証人も保証料も不要
- 繰上げ返済手数料は100万円以上(WEBサイトから手続きする場合は10万円以上)であれば無料
財形住宅融資
最後に「財形住宅融資」にも触れておきます。
勤務先によっては福利厚生の一環として、財形貯蓄制度があります。
財形貯蓄制度とは、企業が毎月の給与から一定金額(従業員が希望する金額)を天引きして貯蓄してくれる制度で、次の3つの種類があります。
- 一般財形
- 財形年金貯蓄(年金財形)
- 財形住宅貯蓄(住宅財形)
このうち❸住宅財形貯蓄(住宅財形)は、その名の通り将来の住宅取得資金を準備するための預金です。
そして最大の特徴は、住宅財形貯蓄残高の10倍(上限4,000万円)を限度に、住宅金融支援機構から融資が受けられるという点です。この融資を「財形住宅融資」と言います。
「財形住宅融資」を利用するための条件は以下の通りです。
- 住宅財形を1年以上継続していること
- 住宅財形の貯蓄残高が50万円以上であること
- 融資上限額は貯蓄残高の10倍以内、かつ4,000万円以下であること
ちなみに、住宅財形は年金財形と合計で550万円までの金額には、利子が非課税になるという税制上のメリットもあります。
実は住宅財形は住宅取得以外の目的でも払出しすることはできるのですが、その場合、上記のような税制上のメリットは受けられないので注意が必要です。